2022年12月28日水曜日

今年(2022)最後の映画

    The First Slam Dunk 

 12月25日の日曜日の朝、梅田にいた。大阪ステーション・シネマで「スラム・ダンク」を観に来ていた。最愛の夫と長男を亡くした母の健気な生き方と、兄の後ろ姿を見て育った次男が背番号7を引き継ぎ、湘北高校代表として表舞台に立ち山王工業高校と死闘を繰り広げていくドラマだ。いくつかのシーンで涙した。特にライン際ギリギリでボールを拾うシーンは、先のサッカーW杯で三笘選手が見せたミラクルな1㎜の捕球を思い起こさせたし、画面に釘付けにされた。欲を言えば、時間ギリギリのロングシュートを決めて欲しかったと思ったのは私だけだろうか?作者は井上雄彦(たけひこ)で、我が家ではモーニングで連載された「バカボンド」シリーズ37巻を本棚に並べてあるけど、全く両者は趣が違う。前者は青春ドラマだし、後者は時代劇だし。12月26日時点で興収50億で、340万人(1月末で89億円で、610万人と倍になっている)を動員したとか。

 これはプライベートな事だけれど、少し前にタカコと難波で忘年会をした。やっと実現したようなものだったけど、4人の子持ちで明日は剣道の壮行会がありますって、まだ張り切っていた。半年前には行き詰まっている観光バスが12月には逆転現象でワキさんが来れなくなってた。もし来てたら、ちかちゃんは?って尋ねたかも知れないね。誰しもしんどい時があるよ。二人の力士を育てた藤田紀子さんは色々取り沙汰されもしたけど、幸せになってもらいたい。愛ちゃんも二人の母親だけど、紆余曲折はあったとしても自分の本当の生き方を見つけて欲しいと心から願っている。

 色んなことで我慢してきたんやろう。イレギュラーな事もあったと思うし、二人もいたら子育ても大変やと思うしな。気負ってここまできたんやろうし、見た目誰も弱音吐く人には見えないから、いつも強がりを演じてきたんじゃないかなぁ‥.。もうそんなに気負わなくてもいいしな、前にも一度言ったことあるけど、そんなに無理はせんといてな。

                                         デイリー・スポーツの画像より


 あん時コーヒーカップ片手にずっとお前が来るまでドアを開けて待ってたように、今もずっとドア開けて待ってるよ..。お前がそばにいるだけで心から嬉しかったしな。もう季節は冬になってしまったけど、一度滋賀のおじいちゃんをお参りしてな。三十五をいつも守っているから喜んでくれるはずやから。行けない時は手を合わすだけでいいから。

 そういえば、12月25日のクリスマスの聖なる日、地元のよくお参りする神社の鈴と鈴緒が一新されたと連絡が入った。鈴緒は先月おれが寄進したもの。つまり去年のある日お参りすると鈴が落ちていて、半年後にアオガエルが出現し、何かしてくれないかと頼まれているような気がしていたから、ずっと何とかしないとと思っていたのだった。約2年が経ちそんな運びになった。クリスチャンでもないおれが、復活祭や奇蹟を信じているというのも変な話だけど、そうしないわけにはいかない事情があるのだから。

補追;11月22日と云えばケネディ大統領が暗殺された日だけど、その日にもう一人のおれがアンデルセン・グループ主催の童話に応募したみたい。「約束」〜二十歳を超えたあなたに

という題で、その1は「約束 약속」その2は「クリスマス・ツリー」その3は「アオガエル」という構成で、それぞれの「不思議」を組み立てているらしい。

2022年12月19日月曜日

映画「アバター2」 Avatar ;The Way of Water

  12月17日の土曜日は早朝から電車で大阪へ。梅田は結構な人出の中、私は大阪ステーションシネマに直行した。メトロの難波でちょっと足止め、前回のSuicaが上手く動作していなかったため。やっとノースゲートビル(ルクアがある)11階の劇場に着くと9時開演まで時間があって、外の空気を吸い、15分前に珈琲とポップコーンを買って中へ。やっぱり観て感動する自分がいた。横には三十五がいなくても寂しくなかった(ちょっと強がり)。冒頭の20Th Centuryが Fox からStudiosに変わっていた。最後らへんで船が沈むシーンがあるけど、あれはきっと監督も意識していたに違いない「タイタニック」を思い起こさせた。今回の映画は、人類により住み慣れた神聖な森を追われたサリー一家が逃げ場を求めて遥かな海へと向かうが、家族の絆の力が込められていた。特に14歳の娘のキリKiriは、自然と一体になる不思議な力を持っているから森の中でも海中でも美しい神秘的な妖精に守られているような存在で癒されてしまう。彼女を演じているのはシガニー・ウィーバーで、実は73歳の女優と聞いて驚かされる。そして彼ら一家が新天地で身に降りかかる災厄の中で、一つに結びつき、一つの合言葉を声を出してみなで唱えることで家族の一体感を高めようとする。クライマックスはジェイクが、失意に苛まれてしまうネイティリに「今こそ強くなれ」と言い、その言葉で力を振り絞り健気に戦士として戦っていく。長男の最期や次男のいじめの中でのぎりぎりの海中での戦いや、キリが「どうして私はみんなと違っているの?」とひとりボヤくシーンもあるが、それらは一つの結晶となってそれぞれを結びつけていく。いくつかのシーンではほんとに涙を誘ったし、観客もすぐには出ようとしなかったのもこの映画の余韻に浸りたかったのかも知れない。今度は絶対一緒に観ようなっ。


映画『アバター』続編シリーズは、この

 第2作が2022年12月16日の公開のあと、

 第3作が2024年12月20日

 第4作が2026年12月18日

 第5作が2028年12月22日でそれぞれ米国で公開されることが決定されている。

 

 写真は、20th Century Studios 提供

2022年11月28日月曜日

白紙革命 the A4 Revolution

    折も折カタールでFIFAワールドカップが催されているが、ここにきて中国が俄に騒がしくなって来た。

 上海や北京という首都圏でデモが起き、それが日に日に拡大の兆しを見せている。そのデモは深夜になるまで続き、逮捕者も相当出て来ている。彼らは一様に「自由」を求めて戦っている。

 発端は、新疆ウイグル自治区ウルムチ市で起きた高層住宅での火災だった。その火災で10人の住民が死亡している。17階建住宅の15階が火元であったが、思うように消防の消火活動や救出活動が出来なかった。それはなぜか?現下「0コロナ政策」により、全て市民活動に制限を設けているためだった。だから住民が上手く避難できず(当局は逆に中に留まるように指示している)、封鎖バリケードが元で救援活動が困難になったのだ。ハシゴ車からの放水も離れていてか届いていない状態だった。そしてそのことを国内のwebsiteであるWeibo(微博)で誰かが拡散し始める。

 ウルムチ市では120日以上当局の封鎖があり耐えきれなくなった市民が「解散せよ」とデモを起こし始めた。デモは北京市や上海市にも飛び火したが、上海市のウルムチ通りでは、白い紙に何も書かれていないカードを掲げて行進し「不要核酸(PCR検査は不要)」「我想要自由(私たちには自由が要る)」と声高に主張した。

※当初、南京放送大学の女学生がこの何も書かれていないA4の紙を掲げたところ、先生がそれを取り上げ、学生の友人がそのことをSNSでupしたことで拡散したようだ(東京財団政策研究所の柯隆さんの話)

 「政府は決して0コロナ政策を止めることはない。止めたら自らの過ちを認めることになるからだ」。当局の代表が市民の抗議活動を鎮圧しようとすれば、市民は逆に封鎖を「解散しろ」と迫り、仕方なく退散する一幕もあった。北京でも同じように「3年間我々は耐えてきた。例えデモで自分が死んだとしても尊厳を持って死ぬことができる」と話す若者もデモ隊にいた。まるでひと頃の香港市民にも似た状況のようだ。しかし中国では0コロナ政策によってもこのところ感染者は増え続けている。



 香港では国安法によりほとんどの反政府分子が一掃されたように見える。そしてかなりの香港人が自由を求めてイギリスに移住している。それはジョンソン政権が受け入れを発表したからだった。それまで旧統治国のイギリスは香港市民の自由を求めるデモに殆ど反応していなかったと思われる。まるで中国当局との秘密裏の取引でもあったかのようだった。日本も相当冷たかったという印象を持った。

香港市民32万人が出国(モハPch)

 今中国の市民は「自由」や「正義」を掲げて自らの命と引き換えにこのデモを行なっている。先の第20回共産党大会では李克強首相が退陣し、胡錦濤前総書記の封じ込めに成功し独裁政権を盤石のものとして内外にアピールしたかのように見えたが….。しかし綻びはあちらこちらで見られている。

・iPhoneの工場(ホンハイ)で従業員が逃亡している。これは30万人と言われる従業員のうち一部がコロナにかかったため封鎖されたことによる。

・今回のデモは、実は各地の大学からはじまっている。これもコロナ関連で、授業が出来ないという「不自由」が招いた結果である。

・少し前のことになるが、誰かが北京の街中の歩道橋に垂幕を掲げたことがある。堂々と習近平政権を批判したのだ。しばらく気づかないまま放置されたが慌てて当局が回収している。

 こういうことが重なっているのであるが、仕舞いには収拾出来ない程の大きなうねりとなっていくことだろう。中国大陸における「地殻変動」と言ってもよく、人々がようやく「自由」を渇望し、声を上げ始めたのだ。私は以前ブログで中国国民もいつまでも馬鹿ではないと言ったが、そろそろ限界に来ているように思える。ちょうど台湾では統一地方選で民進党が国民党に敗れ、蔡英文総統が辞任したタイミングだったが、中国共産党はしばらく外に目を向ける暇はないかも知れない。

<参考>

bloombergの記事(2022.11.27)

DW(ドイツニュース);習近平反対デモ

DWニュース;中国のコロナ対策

モハP ch(デモ全土に拡大)


2022年11月15日火曜日

誰か後ろ戸を閉じて

    しばらくの間宮崎駿の「千と千尋の神隠し」が316億円で国内の歴代興行収入トップだったのを、「鬼滅の刃」が2年前に404億円と簡単に抜いてしまっていた。ちなみに「君の名は」250億円、「もののけ姫」201億円。今回の映画は新海誠監督が満を持して送った作品だったようだ。アニメ映画「すずめの戸締まり」はこれらの興行成績を塗り替えるかも知れない。

 「すずめの戸締まり」ヒロインは、岩戸鈴芽。九州の漁村に近い小高い家に叔母と二人で住んでいる。彼女は自転車で通う女子高生。ハプニングが起こるのは、東京の大学へ通う草太というイケメン男子に出会うことがきっかけで、その後変な猫が現れて、「後ろ戸」を閉じる「閉じ師」の草太がイスに変身させられてしまい、鈴芽がその役を担うことになり、二人の地震(みみずの動き)を治める旅が始まる。終わりの方で鈴芽が幼い記憶を辿り母と生き別れとなった東北の地で、津波に飲まれて廃墟と化した街に辿り着いた時に、やっとあることを思い出すシーンがある。そこで涙が出た。

 東京からは草太の友人が鈴芽を乗せてオープンカーを運転するが、カーステレオから流れる懐かしい曲はブラピ主演の映画「ブレット・トレイン」を思い起こさせるが、この「すずめの戸締まり」は「もののけ姫」とも共通した主題があるように私は思う。ポンコツの車はルパン三世にも共通するしね。映画がクライマックスに近付いた時に母からケータイの電話が鳴り止まないのには弱った。そう言えば映画が始まる前にケータイの中のお前に一緒に見ようねと囁いたっけ。

 もう一人のおれがこの冬にアンデルセンのメルヘンに応募するらしくて、お前をヒロインにするって張り切っていたよ。テーマは「約束」약속 だってさ。



     かけまくもかしこき日見不の神よ

     遠つ御祖の産土

     久しく拝領仕つったこの山河

     かしこみかしこみ謹んでお返し申す

 


 映画を見た11月14日夜(17時9分ころ)ニュースが流れた。「東北地方福島県浪江町、茨城県つくばみらい市で震度4を、東京都や横浜市でも震度3を観測する地震がありました。」また石川県でも深夜最大震度4を観測する地震が起きている。前者は、ずっと離れた三重県南東沖を震源地とする地震で「異常震域」といわれるめずらしい現象であることが気象庁により発表された。

2022年10月23日日曜日

18年前のタイムカプセル A time capsule found 18 years later

  18年後のあの場所へ行って来た。その日は初デートだったから。安全な場所にバイクを止めて歩いていると、直ぐに向こうからPCがやって来て、すれ違った。警官もマスクしていた。もちろんおれも。何かの気付きを与えていると思う。少し上の見晴らしがいい場所に木のベンチがあって、そこに腰掛けたら違った風景が広がった。この18年間、三十五以外の人と会ったりしたけど、どういう分けか肝心のところでお前の守護霊が 全部cut off した。

 今から思えば不思議なことだけど、そうとしか考えられない。一人や二人やない、それも。つまりお前の守護霊に守られておれはここまで生きてこれた、ということになる。

 最近もう一人のおれが、せっせとSFに目覚めて短編を描いている。ようやく自分の得意分野を見つけた小学生に似ている。



 10月22日の土曜日は人出も結構あって、少しずつコロナ禍から人々は解放されつつあるようだった。PCが来て慌てて車に戻る人もいた。発情期なのか雄鹿がまだ小さな雌鹿を追いかけ回していた。辺りにそんな鹿の遠吠えみたいな鳴き声を聞いたりしたけど、空は晴れ上がり、帰り道に見知らぬライダーの人がすれ違い様SRに跨ったおれに挨拶して通り過ぎて行った。
 安心しろよ、とでも言うように。


2022年10月10日月曜日

Google Earth で遊ぼ

    ほんとに久しぶりにGoogle Earth をやってみた。ちょうど気になっていた事柄を地図で確認したかったから思い出したのだ、あの地球儀を。

 場所は、南アフリカのある場所。具体的に言えば、「マリカナ鉱山」。なにそれ、どこ?まあ日本人やインド人、欧米の人は楽しめるけど、中国では Google は見れない。Google mapも。だから北京とか香港とか行ったら、maps.me などのソフトをあらかじめ用意していかないといけない。Wikipediaによれば(最近ではgoogle 検索と同じくらいポピュラーで、誰しも一度ならずお世話になっているはず)「マリカナ鉱山」は、イギリスの鉱物資源メジャーであるロンミンが運営するプラチナ鉱山である…..。次の文章は Thomas Piketty の本“CAPITAL”の一説。

   On August 16, 2012, the South African police intervened in a labor conflict between workers at the

Marikana platinum mine near Johannesburg and the mine’s owners: the stockholders of Lonmin, Inc.,

based in London. Police fired on the strikers with live ammunition. Thirty-four miners were killed.

   As often in such strikes, the conflict primarily concerned wages: the miners had asked for a doubling

of their wage from 500 to 1,000 euros a month. After the tragic loss of life, the company finally

proposed a monthly raise of 75 euros.

 要は南アフリカの鉱山では、賃金をめぐる労使の対立があり、警察が出る騒ぎになってしまい、最初に34人の犠牲者が出てしまったのである(その後犠牲者は増える)。今から10年も前の話だけど、これは。

 イギリスはフランスやオランダなどと同じく世界中に植民地があって、南アもその一つだった。(ここでは書かないけど、ウイルスも人が渡航するとその人のルートで移動する)。

 ノーベルは火薬を発明したけど、羅針盤を利用して人間は船を使い海を渡って外に出ることを知る。航海により貿易を始め、香辛料と毛織物などが交換されたりできるようにもなったし、鉱物資源を発見してエネルギー源を確保できるようにもなった。その中では銀が貨幣の代わりをするようにもなった。境界線を引いたり、海洋大国が世界を制覇した時代だった。私が大学の時に二百浬(海里)という国際的な取り決めがなされた。その後1994年に発効された国連海洋法条約(正式には海洋法に関する国際連合条約)は、その二百海里や最近ニュースでよく使われる「排他的経済水域」や接続水域24浬(カイリ)などが規定されることとなった。きっと地理に詳しい小学生なら不思議に思うはずだ。つまりエチオピアやモンゴル、オーストリアなどの内陸の国には海がないのにどうして?でも国際法は、そんなの関係ないという訳だ。大学生の時に何という矛盾なのかこの条約は、と思ったものだ。

 それでさっきの南アがどの位置か分かったら、今度はオランダのマウリッツハイス美術館に飛びたいと、Google Earth を動かすと、すぐに目的地に飛んでくれる。「実に」便利で優れたアプリだと思う。この美術館にはフェルメールの「真珠の耳飾りの少女」という絵画が展示されている。私はフェルメールの展覧会に何度も行ったけど、彼が1600年代の航海時代(日本は江戸時代)に生きていた人と知って驚いたことがあった。1653年(過去に飛んで歴史を検索するアプリがあってもいいよね)は、レンブラントが47歳で、フェルメールが20歳だった。

補追;最近(2023.3.1)ハマっている動画 Paris Promenade  では、オランダの美術館を案内してくれます。

 もし宇沙子がそばにいたら、一緒に地球を巡って楽しんでいるだろうなぁ…。え?誰だって?ああ宇沙子(ウサコ)か、それはもう一人の私が描いている創作(初めてのSF)上の人物ですよ。三十五と同じ人なんだけど、そうだなぁ一緒にオランダに行って絵画を見たり、ゆったりとアムステルダムの運河沿いを散歩したり…。それが今の夢かな。そう云えば最近よくお前の夢を見るよ。ウサコは実は前に買ったバッグに付いている青いmiffyの人形なんだけどね、そのバッグにはこれからも少しずつとっておきの物を増やしておくよ。

じゃ LINE でけんけんとあそぼ!


補追;最近の北欧の皇室事情

  3年前にスウェーデン国王が5人の孫を王室から除名するという王室刷新の発表を行ったが、それに倣ったのか、今月デンマークのマルグレーテ二世女王が孫4人の称号を取り消すと発表した。何れも王室のスリム化であると伝えられているが、9月にアムステルダム大学に入学して政治学などの勉強を始めたばかりのオランダのカタリナ=アマリア王女(18歳)が、モロッコ系の麻薬組織(モクロ・マフィア)に狙われているという話もある。彼らを報道していたジャーナリストが妻の前で白昼射殺されているので、当局も警備を強化しているところである。それぞれのお国の事情があるようだ。

 


2022年9月16日金曜日

64(六四)

  この間 Netflix で映画「64-ロクヨン-」(前編&後編)を見た。佐藤浩市が主演で、昭和64年に発生した少女誘拐事件が時効を迎える頃に、群馬県警捜査一課を外され広報課に配属になり、広報官(警部)として全く違う立場で戦うという役どころを演じている。私の息子は平成元年生まれで、同級生には、昭和63年生まれと64年生まれの3パターンがあるのだが、私にとってもこの昭和63年から平成元年にかけては現役だった当時仕事柄忘れることができない凝縮した思い出がある(内容は三十五にしか言わないけど)。けれど、昭和64年は1月7日に天皇陛下が崩御されたため短い期間で終わってしまう。※ちなみに私と息子の違いは、例えばnetflixで(日本のドラマは息子は見ないが)私が「BORDER」を見ていたとして、切り替わりの所が不自然だと思う、息子はそれはコマーシャルが入っていると直ぐに解る点だろう。

 映画「64-ロクヨン-」予告編 (予告を見るだけで、何だか涙が出てしまう)

 イギリスではエリザベス女王が死去したので全土で喪に服しているが、コードネーム「ロンドン橋作戦」Operation London Bridge  はもう60年以上も前からイギリス当局が死去後の綿密な計画を立てていたと知った。日本でも昭和63年当時「Xデー」が天皇崩御で、「Yデー」は皇后陛下に関するコードネームであった。その最中の11月14日半旗が翻ったことがある。三木武夫元首相が亡くなったためだった。

 話を戻そう。群馬県を含み北関東地区では幼女誘拐殺人事件が複数件発生しており、未解決事件が多い。すでに解決した宮崎勤に関する少女誘拐殺人事件もこの地域が主であったし、捜査に携わる刑事も不眠不休の対応を迫られる結果になったとしてもおかしくない。そして佐藤演じる刑事の家庭も妻が同じく刑事であったが、家庭崩壊につながり娘はぐれて家出してしまう。残された母親は毎日帰りを待つ、電話が鳴るのを待つ日々を送ることになる。夫(父親)はと言えば刑事を離れて心が晴れる分けではなく、かえってマスコミの厳しい追及の矢面に立つというシーンが繰り返される。それでもいつかは娘がただいまと帰って来るのを妻と待つことに賭けているから、どうしても彼の感情的な面が露わになってしまう。しかし辞表寸前まで自分の仕事をしたといえる人が世の中に何人いるだろうか?映画の随所に重たい雰囲気が流れているのは、冒頭の誘拐事件で犯人に身代金だけを奪われて、娘は殺されてしまうという父親の嘆きのシーンがあるからだろう…。


  時代はもう平成から令和へと移っているが、悲劇的な事件は後を絶たず発生している。平成元年(1989年)については既にブログで扱っている。

 平成の終わり 令和へ (2020年5月2日投稿)

 歴史の大きな流れがこの時ヨーロッパやアジアで起きていた。そして中国でもその記憶はまだ人々の中に消えずに残っている。香港の人々や北京にいる人だって、平静を装ってはいるが、思いは一つだろうと思う。彼らはそれを「六四」と呼ぶ。

 奇しくも64の年は同じである。中国では1989年6月4日の日曜日に起きたからそう呼ぶ。天安門広場に民主化を求めて集まったデモ隊に対して中国当局は武力で弾圧しようとする。既に過去のブログでも取り上げたように、政府要人と民衆との間には驚くほどの乖離があった。胡耀邦亡き後は、先に香港で施行された国安法(国家安全維持法)でも明らかなように、中国ではおよそ「自由」や「安全」というものを抑え込むという方向に向き、当時ハンガリーやドイツで人々が自由を叫び民主化を成し遂げて行ったのと180度異なる動きを見せた。

 

 
 習近平と女王;JーCAST ニュース プーチンと女王;AFPBBNews より

 その中国では日本の企業もそろそろ脱出しようという動きを見せている。バブルがいつ崩壊するか不透明だからだし、周りを気にしない中露のトップは「裸の王様」になりつつある。失業者2億6千万人とは驚くべき数字だけれど、若者が職にありつけない現実を中国政府はまるで容認しているかのようだ。

 アメリカがベトナムに勝てなかったように、ロシアによるクリミア侵略に次ぐウクライナ侵略も9月に入って形勢が逆転しているように見える。それは女王陛下の英国の特殊部隊(SAS)の役割がなければ達成されなかったに違いないだろうけれど、ロシア国内の反プーチンの動きが今後カギになることは間違いなさそうだ。

   

2022年9月3日土曜日

時の流れをとめて…

    この歌は中島みゆきの「世情」の歌詞である。既に中国は香港の反対派(蘋果日報や民主化議員)を押さえ込んでしまったし、本土では自由な活動は実質できなくなってしまった。雨傘革命は、雨と共に完全に消えてしまったのか…。

中島みゆき「世情」香港バージョン

香港の現状(いま)NHK

 台風11号が大きく進路を変えて日本を直撃している。既にパキスタンも国土の3分の1が水没したが、シェリー・レーマン気候変動大臣も「これは温暖化の結果」と話している。中国でも旱魃になったと思ったら今度は洪水に見舞われたりして、コロナだけではなく自然災害に遭っている。

 ところで8月は中国では大事な会議があった。「北戴河会議」である。特に今年は共青団(中国共産主義青年団)派の活躍が喧しいという。胡錦濤によって作られ李克強首相を筆頭に、汪洋、胡春華といった幹部が「幅を利かしている」というのだ(石平氏)。彼らがゼロコロナ政策の失策を声高に話せば習近平の力が弱まるということになる。季節は9月に入ったが、中国通の人やマスメディアもここにきて中国の異変を報道し始めた。中国の失業者は2億6千万人で、若者の失業率は都市部では18%もあるらしい。これは今年1000万人以上の若者が卒業することを除いてのデータであるから深刻度が増している。(YouTube〜KENNY STYLEに詳しい) 中国のいわゆる経済統計は信用できないとはよく聞かれるが、いくら独裁であるからと言って何時までも人々も黙ってはいない。

 他の国とは違って感染を防ぐには直ぐにロックダウンしてしまう(いわゆるゼロコロナ政策)から、人々は外に出れず、生産ラインがストップしてもおかしくないだろう。海外の企業が中国にはたくさんある。日本のトヨタもそうだしアップルやボーイングといった企業も製造中止を余儀なくされることが現実に起こっている。

 柯隆さん(東京財団政策研究所主席研究員)もゼロコロナでは経済の成長を阻んでしまっていると警告している。大規模停電も起きたからそれも原因しているが、中国ではエレベーターは停めるし、信号機も動かなくなるというから日本では考えられない。それは一つには、中国がオーストラリアに科した経済制裁で石炭を輸入しなくなったという笑えない話があるらしい。中国の70%は火力発電で67%は石炭火力だと柯隆さんは言う。時々ウケを狙って話がすべってしまうこともあるけれど、この人が話す中国に関するものが一番信頼がおけるから、よくラジオでもpodcastを通じて伊藤洋一の「Round Up World Now!」の中国スペシャルを聞いている。

 中国が世界の国々に貸している148カ国のうち47カ国が債務不履行に陥り、その額52兆円にも上るという。(YouTubeニューソク通信に詳しい)スリランカが債務の罠に陥り債務超過による破産宣言したのは記憶に新しい(日本に助けを求めている)が、債務国よりも債権国を直撃すると言うのだ。不動産バブル崩壊については大手メディアも扱っている。ローンだけ組まされて、その実住むべきマンションは頓挫して殆ど建設できず、幽霊化しているのが現状である。(中国では先に全額分譲マンション購入費を不動産会社に支払って、その後で購入者がローンを組んで返済しているが、ほぼ全てのマンション建設が途中で頓挫している)そのことと今起きている預金引き出し騒動は関係があるかも知れない。

 債務と債権は反対のことであるが、いずれ日本がバブルで体験したように不良債権が山のように積もり積もって債権放棄をせざるを得なくなったように、中国でも近々似たようなバブル崩壊の兆しがあるのではないか?各都市の地方銀行で人々が殺到し、殆ど暴動寸前になっているというのだ。全国4000行の銀行がヤバくなっている。一体この先にあるものは何だろう。

 国が奨励している地方銀行の地方債を国民が信用せず、利率の高い商品に飛びつくのはどこでも同じこと、各銀行も競ってネットでの金融商品や不動産がらみの貸付(頓挫したマンションからは何も生み出さない)をやり、それが今噂やSNS(LINEなど)に乗って国民の間に不安感を煽っているのだろう。「あの銀行、いつ潰れるかわからないわよ」なんて…。

 最後に13億人の個人情報が流出した件。出処は香港の「サウスチャイナ・モーニングポスト」。上海の新型コロナアプリから5千万人規模の個人情報流出があったと報じた。ハッカーはこの情報を日本円で53万円で販売するとしているが、それとは別に上海の警察当局がデータベースで管理している10億人分の身分証番号や住所、氏名、生年月日、携帯番号、犯罪歴などの詳細な個人情報(ハードディスク22Tb分)を10ビットコイン(日本円で約2千700万円)で販売する者も現れたようだ。データベースで人口分の管理ができているはずの中国で1億人ほどは未だDB化できていないようだけれど、10億人分の後にも追加で流出したとあったので丸々人口分が流出したかも知れない。人民解放軍には世界一、ニのハッキング部門があるが、その逆は極めて脆弱だということを意味している。


 この間、東北の桃を大量に盗んでは売り捌いていたベトナム人が数名警察に捕まった。ウクライナの人々のように帰りたいが直ぐに帰れない難民もいる反面、悪さをする外国人も受け入れているという現実があることを私たちは知らなければならないだろう。侵略以降ロシアからかなりの優秀な人々が出国しているが、中国からも今後隣国に押し寄せてくる可能性がある。


   (写真は、VCG/GETTYIMAGES より)


 日本は住みやすい国だと思う。無駄に監視されないから。「弾丸列車」Bullet Train のPRで来日したブラッド・ピットは京都をおとづれて満足して帰って行った。私も彼が歩いた「哲学の道」を久しぶりに歩いた。そして早速9月2日には大阪ステーション・シネマで相変わらずスキスキの座席でポップコーンをほうばりながらその映画を観た。CGてんこ盛りの映画は「トップガン/マーヴェリック」と一緒には出来ないけど、もしお前が横にいたなら頭を肩に寄せて甘えてしまうかも知れないね。カルメン・マキの歌う「時には母のない子のように」を聴きながら….。

 その日、映画館を出たら外はいっぱいの晴れ間、ルクアの中で仙台の牛タン定食を食べて、蔦屋書店で手嶋龍一の新刊「武漢コンフィデンシャル」を買う。そして阪急のESTまでひたすら歩き(途中携帯がけたたましく鳴って訓練用の緊急速報を告げている)「スタンダード・プロダクツ」(ダイソー)を見つけて、中でやっと「CRAFTSMAN PENCIL」を買ったのだった。


停止时间

向我呼吸





2022年8月28日日曜日

類は友を呼ぶ

    山上容疑者のかつての同級生が、どうしてもっと彼の話を聞いてやり、力になってやらなかったのだろうと悔やんでいた。通り魔とか放火殺人とか重大な事件ほど、発生してから容疑者の友人関係に取材が入り、知るのが遅過ぎた旧知の近況に関係者は苛まれてしまう。

 以前ちょっと触れたことがあるけれど、もう人々は自分ファーストになってしまって、他人を気遣うとか、優しさを発揮することも車を運転している時には思い及ばないような気がする。横合いから車が出たくても中々譲ってくれないし、3秒(または30メートル)手前で自分が曲がる方向の指示器を出す、そんな簡単なことさえ守ろうとしなくなってしまった。一日1台入れるだけでいい。そうしたら喜ばれるし、譲った自分も気持ちいいだろう。女性なら譲ってくれる?そんなこともないよ。よく煽り運転よくないと誰もが認める。しかしその原因を作っているのはあなたかも知れないのだ。

 安倍さんと親しかったプーチン大統領やトランプ前大統領に置き換えれば、彼らは結局利用しただけなんじゃないかと思ってしまう。例えトランプ氏が極秘情報をロシアに流したかどで逮捕されたとしても、イギリスの首相が人気薄で交代したとしても、英米の特殊部隊員は黙々とウクライナで計画を遂行するのは変わらない。自民党の経済再生担当大臣が偉そうに言ったとしても、和歌山の親中派のジイさんが「自民党は変わりやしないよ」と憮然として話したとしても、別にどうでもいい。彼らは票集めや年収とか議員特権とかいうものさえ守られれば国民がどうなろうと初めから眼中にはない。「時の人」中村氏が警察庁長官を辞める(8月31日付)らしい。いや付いてない人だなぁ、それにしても。いや、でも自業自得ではないか。当然の報いと「ブラックボックス」を表した女性は思っているかも知れない。

 久し振りに(バイクでは初めて)「ぼくの夏休み」に京都に行ってきた。曇りのち晴れの天気予報どおり、左京区の銀閣寺周辺は秋を感じさせるくらい過ごしやすい日曜日になった。哲学の道を若王寺まで歩くとさすがに背中が汗ばんできたけど、木陰が多く気持ちがいい。類は友を呼ぶけれど、そこかしこに秋の気配を感じる季節になろうとしている。

 ただ哲学の道沿いの店にはcloseがあちらこちらにあって、以前のままではなかった。八十代の土産屋の店の主人は気軽に寄って行ってと声をかけてくれ、ついつい話し込んでしまう。「うちはコロナで3人解雇した」と話してくれた通り観光には厳しい状況が続いている。川(疏水)は以前よりずっとキレイになってますねと言うと、琵琶湖から水をひいてるし、ゴミをみんなで片付けたからや、キレイにしたら水も済んでくるよと話しておられた。

 だから余計に着物を着て意趣を重んじる市長には手厳しい。京都市は赤字財政で「破綻間近し」と言われているが抜本的な施策は取れないでいる。私がこの哲学の道沿いで気付いたのは大阪市は絶対に設置しないゴミ箱や公衆トイレがきちんとどこにも完備されていること。だからこそ惜しいのだ、アイデアを集めないことが。

 若王寺にお参りして、3年前ならアジア人の観光客が入口で列を成していた「おめん」で美味しい天ぷらうどんを食べて、最近出来たカフェに入りしばらくゆっくりした。左京区浄土寺からバイクで蹴上〜岡崎経由で三条まで移動した(秋になったらキョーセラ美術館に行こうっと)。昔東京に行けば猿楽町(人々はその辺を代官山と呼ぶ)の蔦屋書店近くにある衣料ブランド「BLUE BLUE」に寄り服を買っていたものだけど、店が大阪や京都にもあると最近知った。その店でズボンとポーターとコラボしたバッグを買って帰った。



2022年8月12日金曜日

GM事件と日航ジャンボ機墜落事故

    今日8月12日は群馬県の暑い夏を象徴する出来事として例年TVで報道され思い出されるが、日航ジャンボ機が御巣鷹山に墜落した事故を弔うため遺族を中心に有志の人々が山頂に向けて慰霊登山を行っている。

 JAL123便は乗員乗客524人を乗せ定刻より4分遅れの、1985年8月12日午後6時04分羽田空港を離陸し、伊丹空港に向かっていた。この便には当時ハウス食品(株)の浦上郁夫社長が搭乗していた。

 あの頃世の中で数々の凶悪事件が起きており、複数の府県にまたがるような重要事件(殺人、放火、誘拐、強盗事件など)は、特に「警察庁広域重要指定事件」とされ、毎年のように新たな凶悪事件が発生しては、また新たな指定事件として塗り替えられていくという風な感じであった。よって「警察庁広域重要指定第◯◯◯号事件と呼称されている。その中でも

113号事件…1982年名古屋で警察官が拳銃を奪われ、男女計8名が殺害された事件であるが、捕まったのは消防士勝田清孝で、およそ10年間に22件の殺害を自供したが、14件は立件できずに終わっている。

114号事件…1984年3月江崎グリコ社長の誘拐以降発生した兵庫、大阪、京都、滋賀を跨いだ通称「グリコ・森永脅迫事件」で、今でも犯人グループとの間に企業と裏取引があったのではないかと言われていたり、企業の株価低迷を利用してデリバティブ取引で稼いだとも言われたりするが、最近も映画化、ドラマ化もされており、特に脅迫テープに使われた声が犯人の身近にいた幼い子供2名と女性で心の傷を一生背負うことになったとされ、また他の広域事件と違い10名近い犯人達が最初は結束が固かったが、徐々に仲間割れをしたり、他の強盗事件を起こす中で仲間が自殺したり、未解決にはなったが必ずしも事件そのものは成功したと言えなかった。(塩田武士著「罪の声」、森下香枝「真犯人」など)

115号事件…1984年9月元京都府警広田雅晴巡査部長が勤務中の派出所の巡査長を公園に誘き寄せ殺害の上拳銃を奪い、大阪の消費者金融で強盗殺人事件を敢行した。私は被害に遭った鹿野巡査長があまりに可哀想で当時後輩と一緒に彼が殺された船岡山古墳の公園に行き手を合わせたことがあった。廣田は自分の処遇に対して組織に強い恨みを抱いており、自らを悪人として晒すことで仕返しをしたのかもの知れない。

116号事件…1987年以降発生した「赤報隊」を名乗るグループによる朝日新聞社襲撃事件。記者2名が襲撃され、うち1名が死亡した。

117号事件…1988年、宮崎勤による東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件で4人の幼女が犠牲となっている。尚事件の犠牲者4人のうち3人は埼玉県居住であり、北関東一帯では未だ捕まっていない少女誘拐殺人事件が多数存在する。(清水潔著「殺人犯はそこにいる〜隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件」に詳しい)

118号事件…1991年に発生した身代金目的誘拐強盗殺人事件で、事件は千葉、福島、岩手にまたがって敢行された。


「警さつちょうの すずき(鈴木警察庁長官のこと) え わしら あんたに わるい おもうてる わしらの せいで かみの毛 えろう うすう なったな まわりの もんも まぶしゅうて かなわんやろ 毛のはえる くすりの かわりに また ヒント おしえたる 森永の かし ぎふ県で こうた おまえらでも さがせば わかるやろ」等と脅迫状を送り、当時森永製品を徹底的にスーパー等から排除していく。キツネ目の男を中心にして全国の名だたるスーパーに青酸ソーダ入りのハイチュウやチョコボールを置いていき、そうすることで百貨店や店側が店舗から森永製品を排除する動きにより売り上げが落ち、株価も下落していくというまさに犯人の思う壺に陥っていった。当時売上げが極端に落ち込んだ森永製菓は、駅前など街頭販売などで工夫し「千円パック」などとして商品を売る作戦を行い、全国の公務員もそれに協力するなどローソクの火を灯すような努力を行なっていた。ちょうど森永のご令嬢が外務大臣安倍晋太郎の秘書官である安倍晋三と交際をしている真っ最中の出来事であった(岩瀬達哉著「キツネ目」参照)。

 裏取引に応じない食品会社には犯人グループは容赦なく挑戦状を送り続けていくが、そのうちの一つが、冒頭に述べていたハウス食品で、114号事件の数々の食品会社の一つとしてターゲットになっていた。「浦上へ まえにテープ おくっとったから わしら ほんもの ゆうこと わかるやろ この手紙 けいさつ え とどけても ええで グリコ 森永 と おなじ めに あわせたる あと 半とし したら 森永 つぶれるで グリコは 6000万 ださんで 6億で はなし ついた」などと他の食品会社と対比して「かい人21面相」名で裏取引を強要しようとした。ハウス食品は、犯人からの指示通り現金1億円を本札で用意し警察とも協力しながらギリギリの攻防で応じた。先ほど「広域」重要事件の話をしたが、警察が広域捜査の重要性を認識したのはこのGM事件の失敗があったからだった。ハウス事件では警察も初めてデジタル無線を駆使して滋賀県を舞台に、これまで数度捕捉に失敗したことを払拭して捲土重来を期して挑んでいた。しかし犯人側も現金受け渡しに要する時間を秒単位で計測しておりうっかりと現れたりすることはなかった。犯人側が指定した場所として「大津SA」がある。そこは知る人ぞ知る外部の街中に通じる階段があり、私達も以前旅行先で帰ってきた時には、そこで観光バスに降ろしてもらい、近くのJR大津駅まで歩き帰宅するという方法を利用していた。当時は犯人の中に元滋賀県警の刑事がいるとは分かっていなかったが、この土地勘と、広域になったがゆえに充分な共有が図れなかったことが、通常の滋賀県警パトカーに不審車両として追跡され辛うじて振り切って逃げてしまうという一大チャンスを取り逃す失敗につながり、犯人にとってはまたしても悪運が救ったのだった。

  当時の京都新聞「号外」より


 滋賀県警の失敗は、県警山本本部長の焼身自殺というセンセーショナルな結果を生んだ。警察庁は連日滋賀県警を責めまくっていたが、今回の安倍元首相の狙撃事件と同じく本当に見直さなければならないのは、警察の体質ではないかと私は思う。やっとのことで犯人から「くいもんの 会社 いびるの もお やめや」とハウスを許すという終結宣言が出されたのは、1985年8月11日のことだった。浦上社長は大阪にある父の墓前にそのことを報告するために翌日の飛行機を利用したのだった。享年47歳であった。後にボーイングの事故機の事故原因は圧力隔壁の強度に問題があり、それにより垂直尾翼が吹っ飛んだとこととされているが、機上524名のうち生存者はわずかに4名だった。


追記;遡って前年の1984年12月10日、在阪ならずマスコミ各社が一斉にハウス食品本社のある東大阪市御厨栄町に殺到していた。多くは黒塗りのハイヤーでかなりの数の車が本社の周りを囲っていた。滋賀県でハウス食品側が用意した身代金を受け渡す際に犯人を捕捉するとして捜査員が集結していたが、ほんのわずかな間隙により痛くも逃した顛末の直後、この日の夕刻ハウス食品が脅迫されていた事実をマスコミに公表したからだった。私はその時本社前で特命に従事していたのだが、これからハウスも日本も忙しくなるぞぅと一人寒空を見上げながら呟いたものだった。報道結果は上記京都新聞の号外につながる。この日を境に警察は、ハウス食品本社の周囲を二十四時間体制の張付け警戒としたのだったが、それから終結までにはおよそ半年を要したのである。(もう一つ余談であるが、当時もう一つ既に警察は張り付け警戒を余儀なくされていた。山口組が分裂し、同組と一和会が抗争する「山一抗争」がその年の夏に勃発していたためだった。)



2022年7月28日木曜日

空時/領域/極限まで

    最近、というか今年二回目の大阪ステーション・シネマの映画は、観ようと思ってて中々観れてなかった「トップガン/マーヴェリック」にした。日曜の朝は初回8時20分開演やから、6時半には家を出る。昼前にこの間知り合った韓国人の経営者と会う約束をしているからギリギリのスケジュール。実際には10時半には終わって少し余裕があった。(※7月24日は、私が4回目のワクチンを打ったのが前日、大阪が1万7千人を超えた日)

 映画の冒頭でマーヴェリックが乗るバイク、カワサキのninja900が疾駆するシーンがあるが、その辺は「ドラゴンタトゥの女」でヒロインがホンダのカーレーサーに乗って疾走するのと同じで見ていてスキッとする。(お前と別れんかったら、オレもバイクなんか乗ってないやろうなぁ?)

 ムスタングという往年のプロペラ機も登場するけど、これは日本の零戦と戦った名機であるし、マーベリックが敵のF14トムキャットに乗るシーンは、初代トップガンが30年も前で、その時の印象が残っている観客には唸るものがあるだろう。今艦載機といえばF18ホーネットE/Fにその地位を譲ってしまっている。F35Bステルス戦闘機は垂直着陸出来るから日本の空母化する護衛艦には最適だろう。

Topgun/Maverick2022

 映画を見終わってから思ったことは、人にはそれぞれの生きる「領域」があるんだなぁという感想。つまりパイロットにはパイロットとしての、ヤクザにはヤクザなりの、殺し屋には殺し屋の、政治家には政治家としての生きる活動領域というものがあり、それは他のどの領域にも一致しないもの。時々一致する時があるとすれば、それは妙な運命的なつながり、或いは宿縁とでも言うべきものがあるからだろうか?何となくそういったことが頭をよぎった。領域の違う二人がこの世で出会うということは、運命的な繋がりを意味している。おれもお前もそうなんだろうし、たとえば事件の容疑者と被害者の関係もそういったことがあるのかも知れないとも思ったりもした。

  写真は、topgunmovie.jp より


 映画館を出て直ぐに梅田と難波のあちこちある店で文具を探し歩いたけど目当ての物は見つからなかった。それは最近銀座にオープンした「DAISOマロニエゲート銀座店」にある北星鉛筆の「クラフトマン・ペンシル」というもので、関西では、梅田のESTの「スタンダード・プロダクツ」という店にあることが後で分かったけど、その日は時間的に無理があったから、次回のお預けに。お前に買って欲しい物ってなあに?って聞かれたら、その鉛筆セットが欲しいって答えるだろうけどさ…。「いや私、誕生日に何も貰ってないんですけど…」

 ホテル日航大阪のロビーで会った韓国人の彼は50歳くらいで、貿易事業から今はセキュリティ関連の仕事に移っているとのことだった。メールを開いたら「DoS攻撃」に遭ったり「身代金型のウィルス」を仕込まれることで近年企業が対応を迫られているアレだ。分かりやすい紹介動画をYouTubeで作っているので見せてくれた。彼の会社のセキュリティは大統領府にも採用されているとのこと。青瓦台が国民に開放されたんやっけ。LINEも韓国で生まれたね(ライブドアが解体されて、社員を韓国企業が吸収して作ったのがLINEやけど)。話題は、やっぱり安倍さんの襲撃事件のことになった。彼は警備の手薄を何回も指摘していたが、私はそれでも防ぎようがないことを強調した。だっていくら人数を倍増やしてもさ(警察庁にいる警察官ではない人達が頭を絞ったとしても)政治家が一票のために握手をし、特定の宗教の力を借りている現状をどうしょうもない(「桜の会」を宗教団体の集会と言い換えたらイメージしやすい)。彼の国のように徴兵制でも導入したら少しは変わるかも知れないけどね…。いやあ、この国は変わらんなぁ、やっぱり….。網タイツに鯖江の眼鏡付けた早稲田出身の衆議院議員見たら、そんな風に思ってしまう。

2022年7月14日木曜日

誕生日 おめでとう!

忘れてはいないよ、もちろん。

明日は、また映画に行くつもりにしていたけど、また感染拡大になってしまった。

鮎釣りにも行く気がしないし(R169が通行止めに)、戻り梅雨の感じやし…。だから

もうお前のことを想うしかないのかなぁ….。





2022年7月11日月曜日

追悼 安倍元首相

  奇しくも安倍さんが狙われた前日久しぶりに梅田で映画を見た帰り、ちょっと時間があって近鉄西大寺駅のエキナカ「成城石井」で買い物をしていた。数年前にまだ現役の時に平成元年生まれの部下の男と梅田の牡蠣の店に偶々入ったことがある。「かき鐡」という店に入ると、麻生元首相や当時まだ現首相の安倍さんの直筆の書があり、店はまだ時間的に閑散としていたので、店主に「安倍さんはどこに座ってました?」って聞くと、彼が座った椅子を案内してくれたことを覚えている。メディアも知らないから恐らくお忍びで来た店だと思う。

 比ぶべくもないが、安倍さんは昭和29年9月21日に政治家一家の中に生まれ、なるべくして総理大臣になっている。私の祖父は村会議員を4期勤めたのみで、その祖父と父が同居をしていた10月7日に私は生まれた。ちょうど「憲政の神様」と称された尾崎咢堂こと尾崎行雄が逝去したので憲法にちなんで命名されたと聞いている。

 その安倍元首相がなぜ狙われたかという山上容疑者の動機について複数の取材結果が出ているが、彼の政治信条ではなく容疑者の個人的な宗教上の理由が主な動機であることが分かってきた。これまでTVでは明らかになっていないが(7月11日になってようやく宗教団体を報道)、「世界平和統一家庭連合」(統一教会のこと)に入信した母親が容疑者の言葉を借りれば「統一教会の霊感商法で(家財を貢いで母親が自己破産し)一家がバラバラになってしまった」のだと言う。父親の死因は知れないが、兄の自殺(兄弟の自殺は彼の人生に暗い影を落としたことだろう)、その後の宗教による家庭崩壊、それだけに同教団に恨みを持ち続けていたのであろう。

 また公明党が創価学会と一体であるように、政治家も票に結びつくため、信者ではないが「持ちつ持たれつ」の関係を何らかの宗教団体と結ぶことはよくあることだと思われる。実際に祖父の岸信介の時代から同団体とは近しく、安倍さんも付き合いからかメッセージを送ったりもしている。そして容疑者は「岸が日本にその宗教を入れたから(団体のトップは来日せず、安倍元首相を)狙った」と供述している。

 元海上自衛隊員の彼は、3年以上の任期制自衛官(産休職員とかの穴埋め)であったが、その頃に銃の扱いを習得したと思われる。私も銃の分解と組み立てはできるが、彼のような部品をネットで購入し短期間で手製の短い筒状の二連装散弾銃を作ってしまうのは確かな技術を持っているということができる。引き金はなく、ボタン式でリード線により発火装置に結ばれるように出来ている。この辺は、当時國松警察庁長官を狙撃した中村泰とも被る。彼も相当な射撃の名手であり、短銃をマニュアルなしで作ってしまう技量を持っていた。

 最近この事件の関係で、警護警備のあり方について元警護課(SP)の人によくインタビューしている報道があるが、あ、なるほどと思える人とそうでない人に分かれる。特に元警視総監などという人が答えているのがあったが、当時警察庁長官狙撃事件を捜査する公安を直接指揮していたのは警視総監であり、最初からオーム有りきの捜査に偏ってしまった(先入観を排除しなければならないという鉄則を無視した)。途中で刑事部が参加し、あらゆる証拠から犯人が中村ではないかと捜査していたが潰されてしまっていた。結局誤認逮捕を重ねることになり、時効に至る。後年國松氏自身が当時の事件捜査についての誤りを指摘している。

 現場の状況をああでもないこうでもないと主張したところで、今回警察の一枚上をいっていた山上容疑者を押さえることは出来なかったと私は思う。というのも彼には既に対象者をヒットできる確信があったし、絶対的とも言えるだけの訓練を重ねてきたはずだから。この辺については、映画「ジャッカルの日」を思い起こさせる。

 「ジャッカルの日」は、当時人気作家であったフレデリック・フォーサイスの原作をフレッド・ジンネマン監督により映画化されたが、当初はなぜか酷評されていた。私はそれでもこの映画が好きで何回も見ている。最後に「ジャッカルのような人間はどこの世界にもいるもんだ」と述懐するシーンがある。彼は多額の見返りを求めるヒットマンであるが、確実性を何より求めたから性能の良い改造ライフルを手にして試し、命中精度を高めていく。ジリジリと対象に近づくジャッカルと、フランス警察の絶対暗殺を阻止する警備当局とのサスペンスで、最後にドゴール大統領が暗殺されるのかどうかという息も付かせないギリギリのつば迫り合いが観客を巻き込んでいくという筋書きだった。

 昔六本木の派出所で二名の警察官が元自衛官に殺害され拳銃を奪われるという事件があった。当時初めてサバイバルナイフというものが凶器に使われたが、信じられないと思う人が多いかも知れないが、徴兵制で鍛えられている韓国人の若者ならこのようにいとも簡単に警察官に近づき殺害する能力を有している。北朝鮮やロシアのスパイ然りである。日本では、オーム真理教が地下鉄サリン事件を起こしたことで人々の記憶に残っているが、特定の宗教も含めて(政治信条に依らずとも)ある日突然白昼堂々凶行が引き起こされることはいつでも大いにあり得ると私は思う。3年前吹田の千里山交番で警察官が襲われ拳銃を強奪される事件があったのもまだ記憶に新しい。


 ※ 写真は時事通信社が発表したものです。

 今回の事件では奈良で起きたこともあり、奈良に住んでいる者にとっては何か特別な気がしている。安倍文殊院は、陰陽師安倍晴明が修行をした寺院として知られるが、安倍元首相も12年前には縁が深いとして寄進をしている。安倍昭恵夫人のことを安倍さんは同志のようだと言っているのを聞いたことがある。確かに彼女はずっと活動的なファーストレディだった。フィリピンではアキノ上院議員が暗殺された時アキノ夫人が立ち上がり大統領になったが….いや憶測を呼ぶような話はやめよう。ただ一つだけ残念なことは、どうして自殺してしまった財務省の職員の婦人にちゃんと向き合ってやらなかったのだろうか、ということである。赤城ファイルは黒塗りの公文書であった。山口敬之氏に関わる警察の逮捕権についての問題(不当な逮捕を逮捕権の乱用と左翼は叫ぶが、逆に逮捕すべきをしなかったことが問題となった)。先ほどの黒塗りの公文書問題は、最近では兵庫県警の機動隊員の相次ぐ自殺について事実を公表して欲しいと願う遺族に対して、逆撫でするように全面黒塗りの文書を交付している。忖度という言葉がやたら流行った。立身出世主義がその生みの親である。様々な問題を投げかけた自民党の最大派閥を擁した安倍派(清和政策研究会が正式名)の領袖が逝った。

佐賀TVはがくれ時評

今夜7月11日東京都港区の増上寺では、家族葬ではあるが、喪主安倍昭恵夫人が務める通夜がしめやかに行われている。


参考文献等;鹿島圭介「警察庁長官を撃った男」                    

      原 雄一「宿命」

      NHK特集「未解決事件 File.7 警察庁長官狙撃事件」

      フレデリック・フォーサイス「ジャッカルの日」

     






2022年7月8日金曜日

七月七日晴れ

  昔観月ありさ主演(同名の主題歌はドリカム)で映画になったのがそれ。それも私の生まれ故郷を舞台にしていた懐かしい映画だ。今日7月7日、ちょっと身の毛のよ立つ映画「ブラック・フォン」を観に梅田のステーション・シネマ(Lucua11F)に向かった。平日なのに、第七波に突入したとのニュースもあるけど結構な人出に驚く。始まる前に定番のポップコーンとホットコーヒーを用意する。彼女がいない分だけ楽だと負け惜しみを心の中で言ってみる。でも始まるともう、それどころではなく釘付けになってしまう。凄い音響効果もあってか何度か声を上げる程びっくりする場面が少なからずあったし、見終わってみるとただ良かったと思った。最後らへんでは泣けたし(どこかは言わないけど)。終わってから外に出てトイレで若い二人連れが会話していた。「ホラーっていうよりサスペンスって感じかな?」他にも色々会話していたけど割愛。人の入りは、朝イチで私を入れて8人だった。そのうちの最後列にいた二人。露天風呂なら殆ど独り占め的な程の空き。

 この映画を評するのは早いけど、ただどちらかと言うと、映画に貫かれているのは「子供目線」であるということ。大人の視線より低い。実際にこういった映画の中で起きたことは(舞台は1970年代)アメリカなら十分有り得ただろうし、監督は要所に暴力を入れていることから、いわゆる学校における「いじめ」や「家庭内暴力(虐待)」を一つの重要な要素としていることも推察できる。この映画が単なるホラー映画に堕っしてしまわないのは、子供の心をちゃんと描いていたからだと思う。

※補追;2023.7に入って観た映画「怪物」にそのへんは共通している。

 最近でも学校での銃乱射事件が後を絶たないアメリカでは(翌日日本でも奈良で安倍元総理が撃たれる事件が早速起きた)、子供たちが十分守られていないのは事実である。いくら大統領が共和党から民主党に変わったとしても、最近の最高裁判例(アメリカは判例主義)がいみじくも露呈したように、銃規制に対してはそれほど積極的でないことが明らになった。今だに安心して通学出来ない(授業を受けていられない)状況は変わらない。この映画は、子供と親、子供同士の付き合い方、兄妹の愛情、既にこの世にいない病んでいた母親の残像、夢(或いは予知夢)という現象、特に家庭と学校、近隣のつながり等(誰が住んでいるかさえ希薄な隣人との生活)を思い起こさせ、考えさせられる映画だった。昔ルネ・クレマン監督の「禁じられた遊び」というフランス映画があったが、子供が十字架とか遊びの道具にするのは禁じられた遊びなのだが、戦争という現実の中では大人は止めさせる手立てがないことを意味している。つまり大人ではない子供の世界があって、この映画でも大人社会の中に切り込んでいく力を持っているのだと思う。そしてファーストシーンを思い起こして欲しい。ピッチャーとバッターの少年の間に人知れず芽生えた友情。それがブラック・フォンというアイテムを介して主人公の少年を救っていくことになるのだ、何度失敗しても生きる希望を失っちゃダメなんだよ、そう友人は話しかけてくる。彼は生き延びることは出来たのだろうか?

七夕の日にルクア大阪



 そして、昨日の「ハゲタカ」の続きだけれど、次回に譲ります。


 あまりに綺麗なので、twitterの投稿の中から北海道で撮影したというKAGAYAさんの写真を勝手に使わさせて頂きました。m(_ _)m   夏の大三角〜真上が、こと座のベガ(織姫)で、右下がわし座のアルタイル(彦星)です。

 


2022年7月6日水曜日

「ハゲタカ」という外資

  明日は年に一回牽牛と織姫が出会う「七夕の日」。台風一過、近畿では青空が広がっている。例年梅雨の雨に打たれているが、今年は違う様子。逆に気まぐれ予報官の暑気注意報が発令された。

「 そんな日はね、例えば梅田のステーションシネマかなんか朝イチでゆっくり凍りつくような映画でも観たらどうでしょう」

「え?それって今やってる映画、ブラックフォンのことですよね?そうかあ、うんそれもいいよね、でもちょっとホラーで怖い気もするけど、怖いもの見たさっていうのもあるし…」



最近NHKでドラマ「ハゲタカ」が再放送されていたから見ている。ちっとも古さを感じさせないのは、俳優の演技(大森南朋ら)や音楽(作曲佐藤直紀)の力、当時の社会世相を反映した原作(小説は真山仁)と脚本、そして演出力によるところが大きいと思う。Netflixでも映画版をやているから見直して見たけど、中国人役の玉山鉄二などの演技も良かったし、やっぱりending theme の歌がいい。

ドラマ『ハゲタカ』

 銀行ドラマでは「半沢直樹」が人気があったけど、「ハゲタカ」はそのハシリだったように思う。平成に入ってもしばらくは北新地も活況を呈していた時期はあった。コロナに突入するまでもなく、世の中は平成から令和へと移っていく中での景気を反映してか、新地といえどもキャッチに頼らざるを得ない時代だってことくらいタクシーの運転手に聞かなくても分かる。「ハゲタカ」はそんな日本の隙間に入り込んで来たのだ。難波周辺でも、南海の「サウスタワーホテル」は「スイスホテル」に、近鉄の都ホテルは「シェラトン都ホテル大阪」に、あの「ロイヤルホテル」でさえ「リーガロイヤルホテル」に変わった。国内の有名なリゾート地でみんなが行きたいところはたいてい外資だ。星のリゾートでさえこの先分からない、中国が触手を伸ばしている。太陽光や風力だけじゃない、カジノだけでもない。彼らは独立行政法人である国立大学や大阪府や大阪市などの行政に食い込んでくるはずだ。そういった人たちに参政権を与えることが、さも正当なことのように思える時代になってくるかも知れない。

 「ハゲタカ」が描く時代は、銀行が中小企業に貸し渋りをやって工場が閉鎖、リストラ、倒産、社長の自殺へと追い込まれ、そんな弱体化した日本に外資の集団である投資ファンドマネジャー「ホライズン・インベストメント・パートナーズ」(代表鷲津政彦)が入り込んで、今にも潰れそうな会社をターゲットにして「買い叩く!」あらすじである。

 asset(資産)とは不動産、工場なら生産機械、有価証券や預金をいい、有用なそれら資産が負債に照らしていくらになるかを計算してギリギリまで投資する。そして日本の銀行と競争して勝ち抜いていく。会社の株の半分を押さえて「物言う株主」となる。そう言えば、ホリエモンの行動(「風説の流布」)が司直の目に止まった時に、村上ファンドも彼ら地検のターゲットになっていた。一方で企業価値を高めていく投資ファンドも存在する。しかし東芝やオリンパスが同じような手法を用いたように企業の負債を「のれん代」として他国の値打ちのない企業を買うことによって誤魔化すことも罷り通ってきたのも事実である。(続く)



2022年6月14日火曜日

初夏の候いかがお過ごしですか?

    例年のことながら年賀状が来てしまうので返しがどうしても遅くなってしまう。もうそろそろ今年も夏だということで、暑中見舞いを出すことにした。一昨日(6月12日)は夏日の中私は吉野の子供の頃育った場所にいて、日焼けと格闘しながら鮎釣りをしていた。朝には、私が生まれた坂の上のところに植樹もした。蜜柑が2本、柿とキーウイとブルーベリー。叔父は、エンコウ(猿)の餌食になると心配していたが、その通りだと思う。別にいいよ。エンコウは今異常繁殖しているようだ。金沢でもツキノワグマが人々の生活圏内に入って来ていて、子供達が鈴を付けて登校している様子が報じられていた。

 昔は人と動物が共生出来たものが、それも疾うに壊れてしまっている。つまりそれは、ダムを建設したり、今流行りの太陽光発電施設を作ろうと森林を切り開いているからだろう。森には植生というものがあり、野生の動物たちにとっても食の宝庫でもあった。腐葉土が積もった森に雨が降り注ぐと、樹々が幾つも実を付けて動物達を養い、雨は川に注ぎ、川の魚にも栄養を与える。栄養分はプランクトンとなってやがて海に行き着く。海の生き物にとっての豊富な漁場が作られるのだ。

 私が友釣りという釣りを始めたのは26歳の頃。この間亡くなった義兄の誘いによる。吉野の川上地区のどの川にどんな石があり、川の流れがどんな風になっているか特徴を大体つかんでいた。鮎は苔を食んで成長するが、苔が光合成により育った石の周りに縄張りを作る。そこに囮の鮎を泳がせて誘い掛ける仕組みである。ダムがそこに出来ると環境は一変した。そのずっと前に私の村も同じ道を辿っていた。祖父が釣りをしていた頃だ。ダムが川を堰き止め、そこに生息する生き物の生態系を変える。長良川河口堰も同じだった。今は太陽光発電なるものが気候変動を抑え自然にやさしい、人々に希望をもたらすものと信じられている。しかし気づいた時には既に日本中の森という森の木が伐採され、生き物の棲家が追われてしまっていることに人間はずっと後で気付くことになる。何とかしないとしっぺ返しは大抵人間が被ることになるだろう。

 動物園に子供たちを連れてサルやクマを眺めている時に、少しだけそういったことに思いを馳せて欲しい。見せ物になることが動物にとっての本心でもないはずだし…。



 今月の初めコロナで中断していた、現役の五十代の主任との飲み会がやっと実現した。でも非番で案の定事案で遅くなった。おまけに免許証も忘れて取りに戻るとLINEが入る。久しぶりで入ったロフトで見つけた写真のバッグを、最初は撮るだけ見るだけにしていたものを、時間が余って遂に買ってしまう羽目に、これなら似合うだろうな、手提げよりも、なんて思いつき、そこに別の店で見つけたミッフィも買ってくっつける。
 ワンちゃんの方はちょっと思ったんだけど、きっとあれ、おれやなぁ….。

 やがてお腹をすかした私の所に主任が到着し、まずは乾杯、なのだけれど、テーブルには透明のアクリルの衝立があり邪魔になる。自分のビールは自分で注ぐ。でも次第に興に乗ってくる。聞くと大型バイクでツーリングしたり、美味しいものを見つけたら、どんなに遠いところでも出かけて味を試したい派とのこと。いいねぇ、と椎名桔平みたく叫んでみたくなる。

 これはオフレコだけれど、主任と別れた後に南海の昔よく行っていたちょっとした店がイタリアンに変わってしまっていて、パスタを平らげる自分がいたけれど、ちょうどそこに八十代と思しき男性が入ってきて、後でトイレを探し店員が誘導する間にその方の持ち物を見張ってやることに。聞けば中小企業の社長らしく韓国人の社長と待ち合わせをスイスホテルの付近でやる予定なそうで、どうも地理不案内であったことから案内して上げることに。社長とその付き人が現れ、いつの間にか私は彼らの食事会の中にいた。それからその後には当時親しく話しいていたキャッチの若者と小一時間意気投合して過ごしたりとそんな一日があっという間に過ぎていった。


 

 

           

2022年5月28日土曜日

人生の達人とは

    この間いつものように山の辺の道を歩いていると、足腰は確かに達者みたいだけれど年は七十は超えていそうな高齢の男性に出会った。気になって何処に行くのか尋ねてみた。すると男性は「行けるところまで行きます」と言う。その人はどうやら関東方面から来たらしく、それも東海道とか中山道とかそういう宿場町があるところを好んで歩いているようで、昨日は京都に入り、今日は奈良から山の辺の道を下って桜井方面に向かっているようだった。

 現代であれば当然風景を写真に収めるとか、insta映えするshotを狙う、とかそんなことばかり長けてしまうのが普通だけれど、その人はカメラを持たず!ただ探索するだけの一人旅で、それを私に推奨してもいた。私は、こういう人こそが「達人」なのだとその時思った。



            お前も達人やった。どんなところでも眠れる達人…。
            いやもっと違うすごい達人のような気もする…

    単身赴任という生き方を余儀なくされている人が世の中にはいるが、私の勤めている食品会社の工場にも結構いる。工場長自身が浜松から来ているし、この間は群馬から来て5年はいる人がやっと帰って行った。入れ替わりに今度は福岡から別の人がやって来る、と言った具合に単身赴任が当たり前な生活になっているみたいだ。人によればどうやら賃貸住宅に要する費用を会社が賄ってくれるそうでそういうことが気に入っている面もあるらしい。寂しがり屋の私にはとても出来そうもないことだと思う。そう言えばこの絵の女性の父親も東京に単身赴任していたっけ。政治家でも、モリカケ問題とか桜の会で追求されても知らぬ存ぜぬを貫く人がいたけど、やはり達人なんだと思ってしまう。最近では大阪市の上海電力が話題に上がっているが、誘致を計画した当の本人は我関せずのスタンスを取り続けている。う〜んやっぱりあの人も達人なんだろうか?

追記;5月29日の日曜日、バイクの集まりW1westなるものに参加したのだけど、その時三重県のあやま道の駅🅿️にイギリスのバイク、トライアンフ1200に乗って来ていた男性とたまたま立ち話をした。TOTO社員で最近大阪に転勤になったらしい。名古屋の同僚と待合せをしていて、ちょうどそこがどちらかも90キロ地点だそうな。その人も関東の人で、ずっと単身赴任を続けているらしい。ああいや〜いるもんですねぇ。世の中には達人が、ゴロゴロ。


2022年5月24日火曜日

「今何してるの?」

  よくそんなこと聞いてきたけど、三十五はいつもそばで眠っていたから、おれは「眠り姫」ってあだ名を勝手に付けていた。ドライブしててもさ、直ぐに横でいつしか眠ってしまっているお前がいた。

 占いの先生が言ってたよ「あなたの横で安心して眠っている姿をよく目にしてたんじゃありませんか?」って。Rock On!


 きっと居心地の良さがそうさせていたんだと思う。「あなたはあの人と一緒にいると、まるで子供のころの純粋な気持ちに戻れるような、懐かしい感覚に襲われるのではないでしょうか?」「別れたからこそあの人は一緒にいた頃どれだけ居心地が良かったのかっていうのを痛感せずにはいられないんです。」「別れて切れるような縁だったら、二人はお互いのことを苦しさを伴いながら思い出したりしませんよ。」「あの人にとってあなたは欠くことのできない存在であり、またあなたもその想いは同じであるはずです。これからも二人が仲良く力を合わせることによって、一人では出来ないことが可能になり、それぞれの社会的な信用もどんどん高くなっていくことでしょう。」「相手に心から献身してみせること…それが二人が背負っている宿命なのです。」「相手の成功のために協力することが、二人の出会った確かな理由です。」

 最近MacBook Pro を買った。デジタルでイラストを描こうかなって思ってさ。(※2022年12月現在、やっぱりデジタルは苦手だとわかった)Macはグラフィックだけじゃなく、音楽にも強くて、今では鼻歌で簡単に曲が作れるようにもなっている。「類は友を呼ぶ」ということわざがあるけど、最近職場に昔ブラスバンドや長距離走など共通する話が出来る人が入ってきた。今年もそろそろ半分にきた(ロシア情勢ばかり見ている分けにも行かないから)。まだまだ成し遂げなければいけないことがあると思うんやけどね、(義兄が逝ったし転機が近づいている予感がある)お互いに飛躍の年になればいいよね!

追記(2023.5.26);このブログを投稿してちょうど1年になる。変わった事、変わらない事は何か。最近日本でもそろそろ「コロナが明けた」宣言でマスクはしてても、職場の食品会社でも検温とか原則しなくなったし、株価もバブル期以来の高値で推移、広島サミットで日本が俄かに注目されているかのよう(それでも中国通の変な知識人はいるけど)。変わらないのは、ロシアの侵略。これもサミットにゼレンスキー大統領がサプライズ訪問したり華を添えた。悲惨な事件は相変わらず起きているし、半年が過ぎて(ほぼ毎日ノートに日記は書き綴っている。日記というより、アイデア帳かも知れんけど)何か期待感をもっている自分がいる…。


2022年5月9日月曜日

青葉の季節に

 「チカちゃんって呼び名、やっぱり自分にはピンと来ないから、直木三十五の三十五(夏目三九みたく)にするわな。それでゴールデンウィークどうやった?」

「毎年同じような感じかな。」

「同じように見えてもさ、今年は違っているかもね。世界の中の日本。人出も以前のようになったし。相変わらず30キロ以上の渋滞の中にハマってたし。あと、自分の家の近くに住んでいた同級生の店(地元では結構流行ってたんやけど)が閉店に追い込まれてて、1億を超える負債抱えてね」

「そうなの。大変ね。確かに全国的に、円安だと輸出に強い大企業は安定しているけど、小さな企業や飲食店なんかは弱いものね。」

「昔さ、三十五ちゃんがメールで云ってたことなんやけど、私も待つんだから、けんちゃんも待たないといけないんだよ。これ、当時はさ、そんなバカなこと、非現実的なことと思った分けなんやけど、年月が経つとその言葉の意味が人生哲学的なというか、ある意味深い真実を含んだ言葉に思えてきて、本当に三十五はそう云ってたんじゃないかって思えるようになってきたんよ」

「さすが、洞察力に富んだけんちゃんだけあるわ、私が見込んだだけあって。でも私も当時は、つい言葉が先行しちゃって、どちらかと言うと何も考えずに言ってしまってて、後で悪かったと反省したり、後悔したりすることが多かったみたい。結構いろいろ悩んだしね自分では。今は少しは、ちゃんと相手のことを考えられるようになってきたと思うけど。」

「偉いね。別れた期間が成長させたと思ったら有意義だったかも知れないね。一度占いやって見たことあったけど、前世の結び付きがあって、一度別れることが必要だったんだって書いてあった。二人が別々に過ごしている時間は、二人がお互いにとってまるで心の一部であるかのように、深く分かり合えていたことを再確認する意味があると。それが大事で、絆というものがあれば実際の距離も関係ないと。そして今変化の時を迎えているらしいんやけどね」

「そういうの好きね、けんちゃん。私には分からないけど、少しわかる気もする。今日ってさ、例の戦勝記念日やったよね、彼の地では。どうなるんやろう。」

「プーチンは病気が結構進行しているのかもね。でも自分が今日だけは勝っていることを演出してみたいらしい。その後でパトルシェフ(安全保障会議書記)に代行させるという腹積りらしいけど、どうも長引けば長引くほど戦況も変わってきている気がする。かなりの数の有能な国民が国外に脱出したし、経済は一寸先は闇だし、仲のいい国ばかりを頼みに出来ないだろうしね」

「昔ね、私がしんどい時けんちゃんが来てくれようとしたでしょ、私はどうして来るの?なんて言ってあなたを困らせたけど、あの時本当はすっごく嬉しかったの。今も忘れていないわ。今度あったら、いっぱい話、しようね。」

「うん。いっぱいね」


写真→差し替え(2023年夏に我が家に出来た葡萄「いっぱい成った!」)




             花束をあげる 美しいきみに


2022年4月29日金曜日

吉高由里子より世界中で一番スキ

  「やぁ、元気にしてる?今年もゴールデンウィークに突入したね。お前、あ、ごめん、ちかちゃんはどう過ごしているん?」

「特に変わらないかな….。」

「おれも相変わらず山辺ノ道を歩いてるよ。ところで最近テレビよりyoutube見る方が多くなった気がするんやけど、きっと昔の動画とか誰かがupしていて、見たいと思って探したら見つかる、そんなことはgoogleでもある程度出来る分けやけど、facebookも卒業してずっとamazonで買い物したり、浪速から出てしばらくはskypeにはまってた時代があったけど、それもmicrosoftに吸収されてからダメになったし。そんな感じで見るのはyoutubeで、書く方はnoteかな」

「相変わらずいろいろやってるね。私はっていうと、それからはもう出世意欲もなく、仕事続けられなくなって、ごめんね。」

「それはちかちゃんの人生やし、おれの方が謝らなくちゃいけないとずっと思ってるよ」

「また小説upしてるね、ほんの束の間。」

「そう。明日親父の十七回忌でさ、それだけ年月が経ってるってことなんやね、二人にとっても」

「そうね。上海あんなことなってるし、昔なら考えられないことだしさ、ロシアの侵略とかもね。」

「言わなかったけどね、おれ実は語学研修(英語)の第1期生やって、それをちかちゃんに言ってなかったと思う、ハズいから。でもこのままだとダメだと思ってるからyoutubeでもDW(ドイツ)ニュース、英語字幕で見てるし、ちょっとでもちかちゃんに近づこうとしているよ」

「偉いやん。もし海外に一緒に行けたらケンちゃんにエスコートしてもらえるね。」

「もちろん!あとね、伝えたかったのは、OPAの時にまずブラバンに入れられたの、十代の時にホルン吹いてたから。柔道も初段以上は二人しかいなくて最初から柔特やったし、帽子が卒業時にはお陰で黒線とエンジの線とダブルの栄誉に輝いてたよ、ブラバンで朝の駆け足列外で喜んでたら途中から、五時限目列外で走らされて頑張ったから。これ全くの自慢話で御免」

「前にそれ聞いてるよ。」

「御免、もう年やから、同じこと言うしかないねん。吉高由里子も最近twitter初めたと思ったら最愛の宣伝ばっかりしてるから、別に大丈夫か」

「私なんかより吉高由里子がいいんでしょ、知ってるよ。」

「アホかいな。芸能人と比べるなって!ちかちゃんが世界で一番やろ。いずれマカオかシンガポールとか台湾行ったら通訳頼まなあかんし」

「私は通訳はお断り、です。」

「あのなあ、先に言ったの誰よ。とにかく、ちかちゃんがそばにいやんとダメやからね」

「へえそうなん?」

去年の今ごろ岐阜に釣りに行く道中、多賀下りSA(めちゃ大きなメロンパンで有名)の中で見つけた鞄が、当時よく私の最愛の人が提げていた鞄によく似ていたから見入って撮った….。
Utada Hikaru 君に夢中
(2022.4.30補追)
「あそうそう、今日さ車で20分くらいのところに最近新しく出来た国立の歴史芸術文化村へ姪二人とお袋を連れて夕方行ったんよ。道の駅も出来てちょっと新鮮な野菜とかも買い物してたらもう閉店なってしもて、外で姪もキッチンカーで飲み物買ったり付近の池を眺めたりして、今度は昼過ぎに来んとあかんなって話した分け。ちかちゃん今度一緒に行こうな!」
このチラシにある十一面観音菩薩像は、十七回忌法要をお願いした副住職のいる三輪山の平等寺のもので、法事の当日もぜひ見て下さいと仰られていた。文化村にはマリオットホテルも建っている。
ちなみに、住職の方は「ほんの束の間のこと」episode3 に登場するよ。


2022年3月24日木曜日

ひまわり

「あのさぁ、ひまわりって数学的にすごいって知ってた?フィボナッチ数列っていうんやけどな、数字が左右に規則正しく配列されているらしい。松ぼっくりもそうらしいよ」

「へえ。初めて聞いた。」

「うん。あの、昔さあ、○○が(って名前呼べないから仕方なくお前って書くけど)メールくれたら必ず最後に句点入れてたのを発見した。当時使ってたガラケー充電したらさ、見れた。それから送信メール見てたら申し訳ない気持ちでいっぱいなったよ、ごめんな」

「昔のことじゃん、いいよ。それよりさ、実家の自分の部屋片付けてたらケンちゃんから借りてたゲームソフトCD出てきたんやけど。あれ(サルのゲーム)ハマってたなぁちょっと。単純やったけどおもしろかったから。どうしよう?」

「あ、あれね。今度どっかで会ったら持って来て、それでいい。Youtubeで榮倉奈々がIn The Bag|VOGUE JAPANでエルメスの財布見せてたけどそんなの買ってやれないかも知んない…でもHelmes のAppleWatchならもう買ってるから上げられる、その時持っていくよ。それから彼女が、テニスボール2個袋に入れて首や背中に当ててるのは気持ちよくて凝りにいいらしいよ」

「ふーん、一度やってみる。物より気持ちでいいよ。花束を、わたしに、でもいいけど…。」

「なるほど。一つ提案。二人で絵本描かへん?文はオレ、お前がイラストっていうの。逆でもいいし(もう一人のペンネーム持ってるオレは少し人格が違うから彼が文でもOK)ウクライナの子供たちが読めるようなヤツな」

「それいいね。じゃ私が文書くから、イラスト頼むよ。」

「分かった。最近今年95になるお袋がさぁ田舎の坂の上にあるお袋所有の土地に死ぬまでに家建てたいって言うから、コンテナハウスにしたらって勧めてるんやけど、そこが出来たら絵本描く絶好の隠れ家になると思うんやけどね、はは」

BOX of IRON HOUSE

「ケンちゃん、相変わらず夢描いてるね、今でも。」

「そうやなぁ、夢っていうか愛がなかったら、世の中、うーとえーとおーしか無くなっちゃうやろ?ちょっと違うか..その坂の上の家はオレが生まれた所で、祖父の家やった分けやけど、生まれた日はちょうど憲政の神様って呼ばれた尾崎咢堂こと尾崎行雄(初代東京市長)が亡くなった、それに因んで名付けたらしい。昨夜ゼレンスキーのリモート演説日本でもあったやろ、NHKは憲政史上初って言ってたけど、それやな。ま、それとウクライナ→ひまわり→子供たち→絵本ってなるんやけどね。無理クリかなぁ..それって」

「私には関係ないから。」

「何でそう言うのかな…ちゃんとオレ専業主夫するよ、当たり前やん、もう不幸になんかさせへんからな、ずっと耐えてるのも分かってるから、それくらい感じること出来るよ。お前のことは自分のことのようにピンとくるんやから…。お前を全面的にバックアップする。もし今違う仕事してたとしてもね。」

「ウクライナどうなるんやろ?プーチン、核兵器使うかな?」

「話題変えるかぁー!おれはもう素直になるからな。えーと、昨日インタビューに応じてたロシア国営放送を辞任したマリーナ・オフシャンニコワ(プラカード出してた女性)が『これは彼一人の戦争で、ロシア国民はみんな戦争に反対しています』って言ってたけど、誰かが制止せんとあかんやろな。アメリカは生物兵器やサリンなど化学兵器を使うと警告しているけど、核兵器もし使うときは「彼ら」が動く時やわ。米国のタイガーチームはクレムリンに入ってるらしいけど「彼ら」=そのチームと、「シロビキ」っていう4人いるロシアの権力者がいて、うちボルトニコワFSB長官、ナルイシキンCVR長官、それとパトルチェフ安全保障会議書記、このあたりが、早い時期に「排除」に動くことを期待するしかないと思う。プーチンの軍隊は証拠の残らない化学兵器、先に使って。その後で核を試すかも知れん、口実設けて。でも、それを側近が知った時が実行に移す時やと思ってる。トランプも最後には側近の一人が、あの人はちょっとヤバイ(気に入らない者は次から次に左遷したから)、ブラックボックスにも手を出しかねないと思ってたと最近述懐してた」

「ふーん。でも何で絵本なん?」

「ゼレンスキー大統領が昨夜の演説で、日本の文化を愛している、それは嘘じゃなく、妻が目

の不自由な人のためにaudio bookを作ろうとして、日本昔話(桃太郎と2匹の蛙の話らしい)をウクライナ語に翻訳して作ったのを聞いてちょっと涙が出たんやけど、それで以前から絵本作りたいと思ってたから、繋がったように思って」

「頑張ってな。」

「いや、また、ちょっと突っ放してない?そら頑張るけど、一人じゃ無理なんよ。二人で一つの作業が大事なことを長い間に学んだのよ。今日はそれを一番言いたいの、お前に」

「お前っていつも言うから嫌い!」

「昔のメールでもそう言ってたな。それは十分知ってますから。会ったら名前でちゃんと呼ぶから許してな。心では尊敬しているし、ずっと愛していますから誰よりも。解ってな」

「ふーん。」


※今日(3・24)のニュースで気になる動きが出てきた!シロビキの一人プーチンのNo.2のはずのショイグ国防相といつも彼の側にいたゲラシモフ参謀総長が解任されたか消えたらしい、国防相の場合は娘に原因があるみたいやけど。(これは、プーチンが核兵器を使うとしたタイミングで退いている)それにアナトリー・チュバイス大統領特別代表が辞任したという異変も起きていて、侵略がうまくいっていない事の責任を側近に取らせようとしているようだ。

補追(5.4)ANNnewsでプーチンが癌の手術で一時シロビキの一人パトルシェフ(安全保障会議書記)に指揮権を委ねるようだ、とイギリスの各紙の報道に準じて報じている。昨日は、ゲラシモフ参謀総長があろうことか東部ドンバス地域を訪問したという報道があったり、次第にウクライナ側に西側からあらゆる武器の調達が供与されている、とかウクライナに有利な報道がある。

 「世界中に幸せを」もたらすことを祈って。

  <参考図書またはサイト>

大江健三郎「我らの狂気を生き延びる道を教えよ」

上田早夕里「破滅の王」(太平洋戦争中の上海で生物兵器を研究開発する日本人研究者らの葛藤を描く)

フィボナッチ数列の記述→YOSHI氏の「数学の面白いネタ」より

自然界にある不思議な数列

 補足;ひまわりは、左と右回りにそれぞれ数学的な配列により規則正しく並んでいることが解っています。





  補追;(2022年7月8日)ここに写っているP900というパナソニックの携帯やけど、NHKドラマ「ハゲタカ」の再放送を見てたら、ヒロインが、何と所持していたのが全く同じ携帯電話やった!! 当時2004年から2005年にかけてこの電話器気に入ってたから…..。                                      



2022年3月17日木曜日

ウクライナ侵攻

     2022年2月24日、ロシアがウクライナに軍事侵攻して20日程が経つ。開戦のかなり前からアメリカやイギリスの情報機関などがロシアの侵攻作戦を予想しており、入念に準備を重ねていたようだ。ロシアが所期の目的(早期に首都を陥落させること)を果たせないでいるのは理由があった。ウクライナは、対戦車ミサイルの通称ジャベリン(FGM−148)1万7000基や地対空ミサイル(通称スティンガー)2000基を西側から提供され配備しているし、そのほかにドローン爆弾、ロケット砲などの兵器も備えている。昨年米陸軍が70キロ先の目標に命中するカノン砲の実験をしているが、ジャベリンと同じく「戦場」が最も兵器の能力を試す絶好の機会であるとそれば、実戦で試す価値は十分あるだろう。(※日本もアメリカも資金提供を行っているが、資金=武器という意味である。ここにきてドイツなどウクライナに同調して武器を調達する動きが出てきている)ロシア軍が苦戦している背景には、FSBの問題(組織内部の反発、プーチン側からの粛清といった報道)や若手の軍関係者の士気や軍隊の統率能力(実際に最前線のロシア将校4人が死亡している)もあるだろうけど、ロシアの作戦が早い段階でウクライナ或いは西側に「読まれていた」ことも影響しているような気がする。最近(3・21)では、高性能な戦闘爆撃機(Su-34など)が性能の良い誘導爆弾を搭載していないという指摘もある。


 チェチェンやクリミア併合など歴史的に見ても彼(プーチン)が今回の侵攻を企てたのは理由がある。私が既にこのブログで取り上げた1989年(平成元年)は、ベルリンの壁崩壊と共に東欧の諸国では次々に人々が自由を求めて「国境」を脱出したのであるが、その様を人一倍危機意識を持って見ていたのがKGBの彼だったからだ。(そのブログの内容は次のリンクを参照)※ KGBはかつての諜報機関の名称であり、現在はFSBなどと称されるが、組織の名称が変わっても、アメリカのCIAやイギリスのMI6と同じように対外任務は少しも変わっていない。

歴史の分岐点 1989年

 今回の軍事侵攻は、ちょうどアメリカがベトナム侵攻をし、北ベトナムのホー・チ・ミンが民族を結集して戦った有様と非常によく似ているので触れておきたい。戦争の大義名分とは何だろう?非赤化というドミノ理論(国防長官のマクナマラが提唱したのでマクナマラ・ドクトリンとも称される。後年彼はこの主張を撤回している)は、当時の大義名分のはずだったが、ちょうどウクライナ侵攻とは真逆の関係になる。

 ベトナム戦争は、フランス、イギリスといった大国に翻弄されたベトナムがアメリカが介入することで二分され、1973年1月27日のパリ協定で停戦合意がなされたのであるが、アメリカ側からはキッシンジャー、ベトナム側はレ・ドクトが秘密裏にパリで会して成った和平の合意も、長い泥沼の戦争を脱し、サイゴン陥落という結果を見るまでには2年を要したのである。しかし、アメリカが撤退し、次はどこに焦点を移したかは、歴史が教えている。9.11後、アメリカはテロリストを一掃するためと称してアフガニスタンに侵攻している。(その後大量破壊兵器をフセインが隠し持っているとしてイラクを攻撃した。)ベトナム、ビルマ(現ミャンマー)、ラオス、タイなどを結ぶメコン川流域は、肥沃な大地で、黄金の三角地域(Golden Triangle)と呼ばれており、大麻の世界最大の供給拠点となっていたが、アフガンがそれに変わったのは単なる偶然だろうか?

 今回ロシアの大義名分は、ウクライナがNATOの同盟国として西側に移ってしまうことや経済圏のEUに組み込まれる等を阻止するためだろう。プーチン流に言えば、ゼレンスキーはネオ・ナチであり、ロシア人民と同族であるウクライナ人を救うためということになる。しかし彼はユダヤ人であり、ネオナチであろうはずもなく、無理に西側と同調する必要もないはずだ。ひょっとしてゼレンスキー大統領は、かつてパルチザンを率いたユーゴの英雄チトーを尊敬しているのかも知れない。確かにチトーは対ソ連との関係からNATOから同盟国的な立ち位置を演じてはいたが、その実「非同盟中立」の精神は彼の身体の中に浸透していたはずだからだ。

 ソビエト連邦(Union of Soviet Socialist Republics)の共産党書記長(ソ連崩壊前に初の大統領に就いた)となったゴルバチョフは、グラスノスチ(日本ではよく風通しの良い環境とかいうが、ガラス張りの政策を言うのだろう)を推進し、ペレストロイカという改革を断行していた。韓国でもそうだが、どの国にも改革を阻止する人間は現れるものだ。彼がちょうどクリミアの別荘に滞在中に拉致され、クーデターにより敢えなく失脚することになるという歴史を私たちは見てきたが、そんな昔のことではないように思える。彼の片腕として手腕を発揮したシュワルナゼは亡くなったが、共にソビエト崩壊の状況下で新しい風を起こし新生ロシアへと導いたことで私たちの記憶にはある。

 ロシアにはよく政治局(かつてのKGB)出身の大統領が就くのは、政敵を把握する必要があるからだろうか。加えて最近ニュースでよく登場するのにロシア財閥のグループ「オリガルヒ」の存在がある。アメリカにも隠れた勢力「ネオコン」がいるが、プーチンといえども彼らオリガルヒの存在を無視することは出来ないし、西側から彼らが既に資産を一部凍結されている実情があることからも、FSBの動きと共に彼らオリガルヒの反対派(エリツィン派)による何らかの進展が期待出来るかも知れない。

 そして最後に記しておきたいのは、今ロシアに完全と戦いを挑んでいるサイバー犯罪集団「アノニマス」の存在だ。彼らは毎日twitterを更新しているが、元々彼らの仮面は、映画「V for Vendetta」から来ている。Vと呼ばれる男は仮面を被っているが、イギリスの近未来の都市ロンドンで独裁者により政敵とされ焼かれた人物である。熱い炎で焼かれ、阿鼻叫喚の中で生まれ変わって人々のために復讐を果たすというストーリーである。ちょうどロシアの独裁者プーチンに果敢に戦いを挑んでいるのがゼレンスキーというウクライナの男であるなら、アノニマスは仮面を被ってはいるが彼の代弁者であり、ちょうど映画の中でもあったように国外からロシア国営テレビをも占拠してしまうのである。反対にロシアからのサイバーテロもありトヨタの関連企業もロシアへの制裁措置の反動として身代金を要求するマルウェア(通称ランサムウェア)を仕掛けられている。


 ちょうどこのブログを作っていた3月16日(日本時間)の夜は、深夜にかけてゼレンスキー大統領のアメリカ議会演説(ドイツのDW放送がYouTube でlive公開)があったが、前日にはキエフにおいて列車で駆けつけたポーランド首相、チェコ首相、スロベニア首相らと会合を開くなど精力的に動いており、ロシア側も少しずつ態度を軟化しつつあるようにも見え、和平に向けての動きが加速しているようにも見られる。

 その頃日本では福島、宮城を襲った大規模地震があり、オミクロンの他に混乱の状況が新たに加わった感がある。(海外では新種の株が流行する兆しもあるが…)まだまだウクライナ情勢、ロシア国内の経済状況は見通せないが、それは日本人にとっても遥か遠い国の出来事でないことだけは確かである。

※俄かに作成したブログであるので、改変、補追することもあることを予め断っておきます。


            画像は、https://www.rottentomatoes.com/m/v_for_vendetta より。

 

     参考文献;クラウス・ドッズ「新しい国境 新しい地政学」

          板谷敏彦「金融の世界史〜バブルと戦争と株式市場」など


2022年2月12日土曜日

腑に落ちないことって?

    去年のブログで、世の中には「腑に落ちない」事も偶には起きるってことを書いたことがある。冬季オリンピックがすんなり運び、金を取ったとか取れなかったとか一喜一憂する(選手も応援している人も)だけのことと思われていたが、実はそうでもなさそうだ。折角だから、少しだけ触れておきたいと思う。

 1️⃣高梨沙羅選手、スーツ規定違反で失格

 ノーマルヒルで向かい風が幸した選手と逆に横風に煽られた選手がいたと指摘する人もいるが、混合では名誉挽回したかったはずだ。彼女は人一倍責任感が強い人なのだろう、彼女自身の2月9日付のinstagramには画面が真っ黒になって、その下に謝罪文が書かれていた。オーストリア1名、ノルウェー2名、ドイツではノーマルヒルで銀メダリスト(同じスーツ着用)も、そして日本が槍玉に上げられた。計測した担当者は自身の公平性を主張しているが、どの国の関係者も「茶番だ」とか「考えられない」と困惑を隠せなかった。こんないじめともパワハラとも付かないようなことが国際舞台で実際に起こっている。高梨も同じスーツだったが、いつもと計測方法が違うとも感じていた。それに国際大会ではこれまで失格はなかったし違和感だけが残った。

 2️⃣フィギアスケート金メダル候補のドーピング疑惑

 これも本来なら16歳以上が検査対象であるし、医師も心臓病に使う薬で15歳の子供が常用することはないというものが、それもロシア国内で三カ月前の昨年12月にワリエワ(ROE)から検出したものと発表し、2月8日陽性と判断し資格停止としたもので、即日選手側が異議申し立てをした結果翌日取り下げられて今後は出場が認められることになったというちょっとややこしい話である。

※ところが、バレンタインデーの翌日2月15日には新事実として、本人が祖父の薬を誤って飲んでしまったと認めたことが報じられた。そうなるとまた話がややこしくなる。これまでの金メダリストも意見は真っ二つに別れ、ザギトワは「彼女を信じている」と手放しで擁護し、韓国のキムヨナは、反ドーピング委員会が反論してもオリンピックの演技を続けられると決定したことについて「ドーピング違反したアスリートは競技できない」と厳しく断罪し、SNSでも賛否両論が巻き起こる事態となった。本人がプーチンとリモート会談するなどしてアピールした報道もあり、益々政治色の強いものになってしまった。

    ※ところで大会三日目で選手と関係者から142人の新型コロナ感染者が出ていることが明らかになっているが、ロシアの未成年者はドーピングの問題以外にもワクチンが打てない等マスクをしたりしてワクチン以外に感染対策を余儀なくされている現実があることはあまり知られていない。


<2月18日補追>フィギアスケートの女子フリーでアンナ・シェルバコワ(ROC)が逆転金メダルに輝いた。薬物疑惑(複数検出)渦中のカミラ・ワリエワはミスが重なり4位に。金メダリストザギトワやワリエワのコーチであるトゥトベリゼが演技を終えた彼女に「なぜ途中で諦めたの?理由を言って」と詰め寄った。今度は銀メダルを取ったアレクサンドラ・トゥルソワに祝福のハグをしようと左腕を伸ばしたが、当然自分が金メダルと思っていたトルソワは身をよじって避け「嫌よ!みんな知っている。金メダルを持ってないのは私だけ、もう二度と氷の上に乗らない」と厳しい言葉を浴びせて、その場を立ち去った(報知新聞、DIGESTなど)。今回の騒動がどうやら最後の最後まで波乱を呼んだことは事実のようだ。


 3️⃣羽生結弦選手の4回転アクセル(4回転半)の演技

 この4回転半というのは、そもそも後ろ向きに着氷するからその分が1回転半になるからそう呼ばれているが、なぜ彼はその演技に拘ったのかという疑問が残る人もいるのではないか。これは私見だけれど、彼の中の、もう一人の羽生結弦がいるとして、本来の4回転を飛べば金メダル間違いないだろうし、そうすべきで、無難な選択をしたはずなんだけど、違う羽生が新たな試みを選択したから、そうしたらどうかって囁いていたから、なんて解釈できないか?決勝では着地に失敗して暫定1位が2位に、それから3位に、そしてメダル圏から脱落したのだけれど、トラウマみたいなものもあったように思える。ショートプログラムでは彼の前の選手の演技で氷が削られていて、それが羽生の失敗に繋がったという出来事があった(羽生「氷に嫌われちゃったなぁ」)。中国国内でも彼のファンは日本より凄く、もう映画スター並みである。彼の前に演技をした選手を殺せと誰かが言ったとかで、会場周辺はセキュリティが俄かに強化されたほどだった。控室から出て荒川静香が声をかけた時に彼の中で抑えたものがどっと込み上げて来た感じだった。悩みに悩んだ彼が、決勝で結果を出せなかったから申し訳ないと弁明すると、荒川から、いや演技素晴らしかったよと認められたことでほっとした表情を浮かべていた。実際に2月14日のインタビューでは彼はこう答えている。(サンスポの記事より)

実は同じフォームなんですよ。9歳のときと。ちょっと大きくなっただけで。だから一緒に跳んだんですよね。何かそれが自分らしいなって思ったし。何より4Aをずっと探していくときに、最終的に技術的にたどり着いたのが、あのときのアクセルだったんですね。で何かずっと壁を登りたいって思っていたんですけど、いろんな方々に手を差し伸べてもらって、いろんなきっかけを作ってもらって、登ってこられたと思っているんですけど、最後に壁の上で手を伸ばしていたのは9歳の俺自身だったなって思って。最後にそいつとそいつの手をとって一緒に登ったなっていう感触があって…」

羽生結弦のエキシビション「春よ来い」


 いつの時代のオリンピックでも、疑惑やトラブル、判定ミスや故意の妨害行為などがあったことを私たちは知っている。今季でも他にも色々うんざりする話が毎日のように流れてきているが、それ以上に感動するシーン(パシュートの予選や女子1000m決勝で五輪新が出たことなど)があったから、ここでは3つだけ取り上げて終わることにしたい。

<2月20日補追>2月20日で北京オリンピックは閉幕した。個人的にはやはり高木姉妹のいくつかのplayに感動した。金メダルを物にした妹、後少しのところで落とした姉の演技にはいつまでも心を動かされてしまった。アスリートにとって、4年に1回のオリンピックは格別のものに違いない。技術だけではなく運も影響する。そんな戦いをどの選手にも感じた。


 私の個人的な冬季五輪は何と言っても札幌だった。前回のフィギアではロシアのザギトアが金メダルで多くの日本人も魅了されたし、勝(マサル)という秋田犬も4歳の成犬になっている分けであるが、私が高校3年の冬は特別なものだった。私は、小学中学、そして高校三年間無遅刻無欠勤の皆勤生徒だったのが、ここにきて一変してしまったからだった。それは同級生から「誰でもそんなこと出来る」と言われたことで目覚めたこともあったが、氷の上のジャネット・リン(米国)が札幌を離れて奈良観光に来るという情報を掴んだからだった。私はもう一人の仲の良い友人と二人で計画を実行に移し、授業を抜け出して奈良公園に向かった。もう皆勤賞なんてどうでもよくなっていた。カメラのシャッターとか押したことのない怠学中の私にプレス社の専属カメラマンが私に丁寧に教えてくれた。目の前にあの銅メダリストのジャネット・リン選手がいる!ただただ興奮してその時は夢中になってシャッターを切ったと思う。意外にも日本中を沸かせた「氷上の妖精」はニキビ顔の普通の少女という印象だった。それが私の「取材」人生のスタートだった。 



           画像は、OurAge(Amana)より

           札幌オリンピックのテーマ


 冬季五輪での余談の話

リネハンメルはノルウェーの都市で、1994年の今日(2月12日)冬季五輪の開会式があった。要人が世界中から来るから警察の警備がそこに集中していた。その隙を狙うかのようにその当日オスロ国立美術館に所蔵されているムンクの「叫び」が盗まれている。絵画は、その後ロンドン警視庁の捜査で犯人は逮捕され絵画もほぼ無事に発見されているが。詳細はドキュメンタリー小説が詳しいので参照されたい。

    ムンクを追え! 『叫び』奪還に賭けたロンドン警視庁美術特捜班の100日 



1968年開催されたグルノーブルはフランスの街で、当時誰しも憧れのジャン=クロード・キリー選手が3つの金メダルを取り(スノーボードがない時代)、選手たちの活躍は、クロード・ルルーシュ監督により「グルノーブルの13日」(邦題は「白い恋人たち」)という題で映画化もされた。フランシス・レイの主題曲は何度聴いても癒される。

グルノーブルの13日

 

2022年2月7日月曜日

一緒に灯(ひ)をともそう

 二人が知り合って満足する時間を過ごすことが出来て感謝しているよ。別れてから時間が経って、お互いの存在が大切に思えるようにもなったし、時間(年月)というものの持つ価値というか、偉大さもあらためて実感できるようにもなった。

 一度別れることでかえってお互いをより近くに感じるようにもなったんじゃないかなぁ。人生や自分自身の存在意義とかも改めて感じることが出来るようにもなったし、お前の大切さも身に染みて分かったし。いなくなって始めてそう気付かされた。忘れようとしても、忘れようと色んな事を試してみても結局ダメやった。それだけお前がもうおれの身体のどこかに居着いていて、切り離せなくなっているということなんかも知れん。そう思うようになったのは、ごく最近のこと。悲しいことに一年前にお前とのラインもプッツリ途絶えてしまった。

 一喜一憂するそんなおれを嘲笑っているのは、Death Note みたいなヤツかも知れない。だけど案外おれときたら、呑気に構えていて、いずれお前と抱き合っていることを想像してしまったりした。でも何かで確信を持ちたいと思っているのは、おれだけなんかなぁ…。子供の頃にはそんなこと頭の中にもなかったことが、消しゴムで消す術も知らず、今一番自分の心を占めているなんて。

 お前という存在。もしおれにこの世での使命のようなものがあるとしたら、お前をちゃんと導いていくことでしかないように思う。当時は教官じゃないけど、入ったばかりのお前を導く指導者の役目もしていたはず。そんなことを知ってか知らずかお前はいつまで経っても何もアクションを起こさない。まるでそんなことは遠い夢の世界とでもいうように。そんなお前を遠くで見守ってあげなさいと囁く人もいるけれど。

 現実とは、何だろう。数日前に自衛隊機が消息を絶った。二人の搭乗員の安否も不明で、そのうちの一人はかけがえのないエースパイロットで教官でもあった。石原慎太郎が亡くなったという報道も流れた。オミクロンは倍々ゲームのように確実に増えていて、自分がいる食品会社の工場や、警察のような職域でも広がっているのは伝え聞いている。お前は安全な所にいるんやろうか?無理していないやろうか?どんな時でも笑顔を忘れてないやろうか?

 そのうちお前が、何の前触れもなく「こんな時どうするん?」なんてhelpしてくるような気がしている。

 「なあなあ、こんな時どうするん?」

 「え?ああ、それは…ちょっと待って、あゝ、あんまり、いきなりやったから…」





上賀茂神社にて。お前が風邪をひいて調子が悪かったから、Nikeのブルゾンを貸してやった。あの時白い馬を見てお前は何を思っていたの? (写真はお前が撮ったもの)

 

                                                        


  

   こんなの見たら当時を思い出すね….。

下寺住宅 (2006年に解体された通称軍艦住宅)






2022年1月30日日曜日

春よ、来い

 出来ることならお前と一緒に 失われた時間を埋めるために 何かしたい

それは具体的に何なのか 話し合って決めればいい

二人の失った時間を取り戻すこと

旅をしたり 図書館で本を読んだり

買い物したり 散歩したり 

さりげない ほんのささやかな事でいいから

貴重な時間で 大切なことだと思うことを 見つけよう

お前はもう 見つけようとして 動き出しているかも知れない

お前が生まれてこの方 自分を成し遂げるため 夢とか 目標とか

未完成なまま終わっていることとか ひとには言えないような お前が心の中で

小さい頃から抱え込んでいることとか そういった他人(ひと)ではないおれに聞いてほしい

ことや 見失っていた大事なこととかを話して聞かせて

完成させたいことや 夢とかを まだ実現していないことを実現するために 

この世で お前と出会ったんやから おそらく

そういったことを お前がおれの左側を歩きながらまた話してよ 悲しかったこととか

辛かったこととか お前がおれと別れていた間でも続いていた お互いの人生を話すことで

笑顔に変えていけるだろう だから今度こそ見失わないで生きていこう 

完璧な人間なんていない だから不満になる前に 話し合わなくちゃいけない

そして 一歩ずつ 前に進んでいこう


           あの時の道具も乗り物もすべて別の物に変わってしまったけれど

           変わらないものは撮られているお前と 撮っているおれ そして二人

           を囲んでいる神戸の大きな海


松任谷由実 「春よ、来い」

2022年1月18日火曜日

決定的なこと 人生中决定性的事情

     世の中で、決定的なことって一体何だろう?

     例えば、卓球選手の福原愛が、八尾市のミキハウスに入り、世界の舞台で優勝したのが2015年。3月スペイン、6月オーストリア、7月韓国、そして8月チェコのそれぞれ女子オープンで優勝した。そして2016年晴れて台湾選手と結婚。そしてそれも束の間、昨年離婚を発表した。

  最近になって、決定的なことが実は時間が経てばそうでもないと思えることがあったりする、なんて考えてしまう。周りの人も、その時は決定的なこととして、祝福したり、喜んだり、幸せをかみしめたりしたはずなんだ。 それは色褪せてしまうからなんだろうか?いや、当人同士しか知らない色々な事があったはずだ。黒木華主演の当代ドラマ「ゴシップ#彼女が知りたい本当の○○」じゃないけど、ついつい彼女のその後に気になってしまっている。

 オリンピック選手でなくても、人は小さい頃から夢を育んだり、わずかに足りない幸せに背伸びをして近づこうとしたり、いろんな場面で自分を表現したりする。それは悪いことではなくて自然なことだと思う。そしていつしか時の流れの中で気付くこともあるだろう。ちょっと背伸びし過ぎてしまったかな?思ってた自分と少し違ってきたみたい。

 ひょっとしてお前がいつもそばによくくっ付けていたNICIのマスコットのワンちゃんの方が事情を知っているかもしれないね。でもそうやって時に流されていること自体は悪いことでもないし、ただ色々やってみて、少しずつ分かってきただけなんだろうと思う。

 おれも実はそうだったから。経験して人ははじめて理解するもんだから。あの時は正解だと信じていても、後でやっぱり間違っていたかも…?なんて振り返って調整することは人はよくする。 だけど、もしお前が今の自分に決定的なことなんだからと、意固地に思っていることがあるんだったら、よく考えた方がいい。決定的なことってないんだから。もちろんひとの影響って意外と強いし、周りの中で自分の意見なんて負けてしまうかもしれないくらいだけど。 そして愛の形というものも昔自分が感じていたこととも違ってきているかも知れない。

 これからもまだまだお前は背伸びを、というか自分を表現しようとするはずだ。その時大事なのは、自分を見失わないことだと思う。自分に素直になるということ、それさえできれば大丈夫だと思う。人生をadjust(調整)するのは自分自身なんだからさ。

 2011年に公開されたマット・デーモン主演の映画「アジャストメント」(The Adjustment Bureau)は、色々示唆に富んでいる。人生を司る神のような存在が政治家の彼を苦しめる。でも彼は決して諦めようとしない。この映画に登場するニューヨークの街の中で「扉を開ける」と移動してしまうという幾つかのシーン(場所)がある。MoMaとかヤンキーススタジアムとかセントラルステーションとか、いくつか行った場所だけに引き込まれてしまう。彼は果たして自分の人生を「アジャスト(調整)」できるんだろうか?それともadjustされてしまうんだろうか?


 

2022年1月12日水曜日

もしも魔法が使えたなら..

 もしも魔法が使えたなら 直ぐにでもあなたに会いに行くでしょう

 あなたに会って 私の思いを伝えることでしょう

 あなたが留守だったら いつまでも待ち続けるわ

 でもこんな寒い日に 私はマッチ売りの少女のように

  寒さに凍えてしまわないかしら

  マッチを1本擦ってみたら 手の平の中で 

  炎が燃えて とってもあったかい

  ほんの束の間でもいいから この私のぬくもりを

  あなたのもとへ 早く届けたい  あなたに感じてもらいたい

  私のぬくもりを


 1月10日に本田望結のInstagramには、彼女が今年の警視庁通信指令室の110番イメージキャラクターに選ばれたと報告されていた。私は夜勤明けでも、オミクロンとかいう厄介なウィルス騒動がなければ、きっと本戎のえべっさんに出かけていただろう。仕方ないから、今回も断念してTVで録画した今までも何度も見た宮崎駿の「千と千尋の神隠し」を見ることにした。見ると決まってどこかで泣いてしまう。エンディングもいけない。

千と千尋の神隠し ending theme

 このアニメ映画は、去年の「 鬼滅の刃」が世に出るまでは、我が国の歴代興行収入が「アバター」も抜いてトップであったし、ちょうどコロナ禍になる直前の中国でも初めてこの作品が封切られるやものすごい勢いで観客動員数を記録したと報じられていた。当時二人で見に行った「ハウルの動く城」や、「もののけ姫」は昨年放映されて高視聴率を稼いでいた。今週はまた「紅の豚」も放映される。昔行った井の頭公園の「三鷹の森ジブリ美術館」で、この紅の豚のセル原画が保管されていたから、食い入るように見入っていたのを思い出す。

 千尋もそのうちきっとハクに再会するだろう。今年1月7日、20年ぶりに二人が仲良く微笑んでいる姿が公開されて話題を呼んだ。

千尋とハク

あとは、おまけでLOST IN PARADISE 

これはアニメ「呪術廻戦」のending themeで、不祥事以降最近メジャー復活したAliの曲であるが、海の向こうで活躍する大谷翔平選手を鼓舞し続けていることでも有名な曲をお送りします。

Aliの呪術廻戦のテーマ






新中東戦争のゆくえ