2023年3月18日土曜日

Winny 新たなる挑戦と挫折

    昨日(2023.3.17)梅田のtohoシネマズで映画を観てきた。その日は本当は昔の部下の一人が焼きそばが好きやったからご馳走しようと呼んだんやったけど、急な出張で叶わず予約していたので一人で実行したのだった。(そこはリバープレイスで、お前と一緒にBY08キャッチしたの覚えてるやろ)三十五と知り合う前の2000年ごろに、映画の主人公の彼はプログラマーとしてファイル共有ソフトなるものを立ち上げて一般公開した。当時このソフトは思わぬ反響を呼び、このソフトを利用して誰もが欲しがる情報や違法な楽曲などをアップロードする者もあり警察は著作権侵害とする利益侵害の当事者からの要望もあり取り締まることを余儀なくされる。

 違法ダウンロードとは、例えば当時人気の宇多田ヒカルの楽曲がCDを手に入れなくても無料で手に入るという代物だったからだ。それだけに中には警察関係者からのアクセスも有り、大変な状況になりつつあった。真っ先に食い物に晒されたのは、京都府警と北海道警だった。それは、気付かぬうちに2チャンネルの掲示板に公開されては困る公文書がアップロードされてしまったからだった。つまり京都府警の場合は、ひったくりの被害者の供述調書であり、北海道警の場合は交通事故の実況見分における被害者の調書だった。その違法なアップロードは次々に全国の警察官が所有するPCに及び、愛媛県警や岡山県警にも波及し、警護計画書の概要や捜査情報等ありとあらゆる情報を見なくてもいい者までもが共有するという現象が起きる結果となってしまっていた。実際にはそれぞれの警察官が自宅に帰って残業した際に、たまたまこのファイル共有ソフトを同じPCで開いたことで起きたものだった。つまりファイル共有ソフトとは、文字どおり無料で宇多田ヒカルの歌や見たいアニメや映画もダウンロード出来るが、その代わりに自分が繋げているPCに入れた情報も不特定多数の全国のPCに曝け出してしまうというものであった。そこまではこのファイル共有ソフトの作者は想定していなかっただろう。通称「金玉ソフト」というものは、さっき言ったネットに繋がっているものなら何でも吸収してしまうというウイルスで、このファイル共有ソフトを通して可能となるもので、利用者が気付かぬうちに個人情報が盗まれてしまうという想定していない状況を作り出していたのだった。

 ただそういう想定を予想していなかった、Winnyというファイル共有ソフトを作り出し公開した当時東大助手である金子勇氏には大きな夢があったに違いないと思うが、思わぬ事態(警察の身内が情報を拡散してしまうという不手際)にはまだ気づいていなかった。著作権法違反の幇助の罪で逮捕されるまでは。映画は、彼が逮捕され、著名な弁護士が不当逮捕を訴え法廷闘争するも地裁で罰金の有罪判決を受ける結果となってしまうまでを詳細に描いている。そして映画の最後で金子本人が出て語るシーンがある。最高裁で彼が無罪を勝ち取るまで10年の歳月を要したが、その1年後には彼の夢を実現することもなく短い一生を終えることになる。

 映画を見た翌日、最近私の周囲から消えた一人のプログラマーにメールした。彼は社会適応がしにくいが自分の夢を追っている。それが金子氏に通ずるものであると思ったからだった。

  「Winnyを昨日梅田で観た。当時京都府警が、また時の政府が、日本にとって有用な存在である金子勇という人を、そんな存在であることを認識出来ずに死に追いやってしまったんだなということを感じて涙した。p to p の本来有るべき状態を、彼の死後にも誰かが構築しなければならないことも感じた映画やった。2ちゃんという掲示板も当時は問題化したし、世界はその後Youtubeが出現し、今またTwitterに変わるものが出てこようとしている。Microsoftは新しい検索エンジンであるGPT-4を最近公開した。映画の最後で彼は言う。『今でも私は、科学技術はすばらしいものだと信じています。新しい技術を生み、表に出していくことこそが、私の技術者としての自己実現であり、また、私なりの社会への貢献だと考えているからです。10年前にWinnyを作っても、検証ができなかったでしょうし、10年後にWinnyを作っても、ありふれた技術だとみなされたでしょう。Winnyの開発は早すぎたのでしょうか。それとも遅すぎたのでしょうか。Winnyは将来的には評価される技術だと信じています。私が、Winnyの開発中断を余儀なくされてから、すでに2年以上にもなりますが、その間にも世界中で、さまざまな新しい技術が生まれ、私の方でも新しいアイデアを思いついています。ですが、それを実際に形にすることすら出来ません。私にはそれが残念でなりません。』(支援者が全国から募り、被告人としての彼は保釈されたがPCを自由に使えず親族とも交流出来ずにいた。私が涙したのは、彼の夢を威信をかけて阻んだ警察が、同じように私文書を偽造しても組織を守るというところに無念の気持ちがはたらいたからだと思う。」

 当時私たちは行政文書は「一太郎」という文書作成ソフトを重宝がって使っていた。しかし毎年一つずつバージョンアップしたし、その度に価格が転嫁された。有名なAdobeソフトもそうだったし、著作権を保護している側のソフト開発会社は懸命に守っていても、利用する一般ユーザーはその度に利益を吸い取られる不利益を被っていたのも事実だった。取り締まっていた警察だって一太郎からやがてOfficeに文書作成ソフトが変わっても、似たような現象が起きてユーザーと似たような立場に置かれたはずだ。だから「もうウィニーは使いません」という誓約書を全国警察の全署員に書かせていたはずだ。この映画の中で、もう一つ愛媛県警の不祥事が描かれている。出張旅費とか捜査費という名目を携わっていないはずの警察官が金額を書いて会計に提出するというもので、それを正義感に燃えた一介の警察官である仙波巡査部長が告発していく。県警や警察庁が真っ向から否定し彼を逆に陥れていくのだが…。しかし何とWinnyによって一番警察が困る本物の領収証という内部情報が暴露されていく。




 また2階の部屋で一人「やまとなでしこ」を見ている自分がいた。

 三十五は、桜子より強かったと思う。だって桜子は結婚ギリギリで思いとどまって欧介のもとに走ったんやから。第9話の最後で欧介が桜子に言う「きっといつか辛い事忘れることが出来る日が来るから。きっと来るから!」と。それに答えて桜子は「ずっと小さい頃から思ってた。きっといつか王子様が現れるって。でも貴方じゃないわ」欧介は「分かってます」と優しく流す。そんな欧介に桜子は顔を埋めるしかなかったのだった。魚屋であるが数学者でもある欧介はそんな時でさえ自分の気持ちを素直に表現できないのだった。もしも欧介が奪ってでも桜子を自分のものにすれば人生は変わっていただろうか…。でもどちらにしても桜子は欧介を選んだけれど…。占い師(このドラマの脚本家も占い師でもある)はいう。

 人と人のご縁は不思議なもので、お互いの大切さや魅力を知るために、一旦離れなければならないこともあるのですから。恋人として付き合うだけでなく、別れを経験しなければ見えてこないこともあるのですね。これから先、また新たな関係を築いていくうちに実感できるはずよ。別れという経験も、お二人にとっては欠かせない要素だったのだと。そして、その経験を共にしたからこそ深まっていく愛情があることにも。

 

 




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