2023年3月30日木曜日

デジタル通貨(CBDC)について

    ナカモトサトシは、いったい何者なのか?

という疑問はさておき、中央銀行である日銀は有識者会議を開き、当面の課題として「デジタル円」の発行を行うための民間を含めた実験を行う予定であることが本日(2023.3.30)発表された。そもそもデジタル通貨(CBDC)は、仮想通貨というものが誕生しての結果として、また共産圏、資本主義圏に関わらず世界の潮流として本格的に法定通貨に変わる新たな通貨として議論され始めたのだけれど、特に最近注目されたのはアメリカの旧facebook(現在はMeta社)の暗号通貨リブラLibra(現在はディエムDiemと呼ばれる)を発行しようとしたことがあって、その時は政府下院により中止を求められ頓挫していることだった。なぜなら「世界の基軸通貨」であるアメリカのドルが暗号通貨の発行によりどうなってしまうか分からないとの懸念があったと思われるが、犯罪収益のマネーロンダリングやテロリストの資金源などに利用されることへの対応が不十分であったとも言われている。

 しかし既に国の法定通貨として仮想通貨を流通させている国もある。エルサルバドルは、2021年9月7日に仮想通貨(現在は暗号通貨と呼ばれる)として「ビットコイン」を採用した。ところがビットコインが暴落の憂き目に遭い、現在IMFは見直しを求めているようだ。リブラと違って資産価値としての裏付けを持たない通貨である点で暗号通貨は不安定な動きをすることがある。最近では、FTXの創始者が起こした詐欺事件があるが、日本でも過去において暗号通貨に投資をしたが一夜にして預けた資金がネットの不正アクセスにより簡単に消えてしまうといった事などが発生している。かつては、マウント・ゴックス事件(70億円相当の仮想通貨が流出)やコインチェック流出問題(580億円相当の仮想通貨が流出した)などネット環境の脆弱性をつき、暗号通貨そのものの管理に関して信用性に疑問と問題を投げかけたこともあり、日本では金融資産を暗号資産に投資するということは行なっていない。

 既にデジタル通貨を発行している国もある。カンボジア、バハマ、東カリブ、ナイジェリアである。中でも、カリブ海にあるバハマは人口40万人で、700以上もある島国で、各島の金融サービスがうまく機能しておらず、輸送コストも高く、ハリケーンなどの自然災害が起こればATMも利用できなくなる等の問題もあり、通貨のデジタル化、QRコード(発明者は、日本のデンソーウェーブの原昌宏氏である)決済利用による送金システムにより、国民のための金融サービス向上につながっているという事例もあるようだ。(Impress Watchの記事より) 

 

          写真は、Paul M氏のTwitter投稿より

 そもそもビットコインという暗号通貨は、ナカモトサトシが考案したのだったが、それは中央銀行というものを通さずに通貨の交換が出来るかという課題をクリアしたことに画期的な意義があった。そのためにブロックチェーンという技術が使われ、誰かが誰かにビットコインを売買するという時に、ハッシュ関数というものを使い暗号化して、誰もがそれを見れ得る状態にすることで安全な交換であることを証明するというものであった。この時に第三者による取引の承認と正しく取引がなされているかという確認作業が必要になるが、それをマイニング(=採掘)と呼び、膨大なコンピューターで作業するから、かなりな熱量というか消費電力が必要になるといったマイナス面もあるが、採掘者はそれにより新たなビットコインを報酬として手に入れることが出来るようだ。そして2140年がくれば、発行量が2100万BTC(ビットコイン)に達し、それ以上発行されることはないとされている。


 もし、初めに書いたように日本の中央銀行である日銀がデジタル通貨を発行するというようなことになれば、もはや中央政府を介さない「暗号通貨」の必要性を唱えたナカモトサトシも地球上のどこかで苦笑いをしていることだろう。彼は、1975年4月5日生まれの47歳であるとされているが、今日誰もその正体を見た者はいない。

参考資料;杉井靖典著「いちばんやさしいブロックチェーンの教本」インプレス刊



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