2025年1月24日金曜日

メディア王 鹿内信隆

  以前息子と信州とかを旅行することになった時に、彼が急に「箱根の彫刻の森美術館」に行きたいと言い出した。もう随分前のことだ。その時彼との話題になっていたのは、「メデイアの支配者」鹿内信隆についてのことだった。鹿内氏は戦後フジサンケイグループを率いて、新聞社等グループの立て直しに寄与した人物だ。彼がその美術館の初代館長になったことで、一度その彫刻の森を見たいということになった。噂に違わず素晴らしい森の中にできた美術館に二人共堪能したことを覚えている。そしていずれその鹿内独裁体制というものを崩していく人間が現れる。それが現会長の日枝久その人である。昨夜仕事から遅く帰ってきてMBSで特番組んでやっていたのが中居を巡る問題が、今やフジテレビの存続問題になっているという事で飲みながら見ていたし、今朝もTV各社が取り上げ報じていた。既に中居個人の問題よりも組織問題に発展しているのだ。

                             彫刻の森美術館のHPより


 昔フジテレビが隆盛を極めた頃まだその息子も小学生でその下の娘もまだ小さかったが、レインボーブリッジを越えてあの「お台場」に連れて行った。当時は「踊る大捜査線」がまだ始まったばかりで、警察の現場と管理職である管理官との軋轢が上手く描かれていて毎週見ていた。また「笑う犬の冒険」も人気があった。局内を見学するとそれらの放送関連グッズがあって買ったことを覚えている。お台場はその後観光人気スポットになった。めざましテレビが朝の人気番組だったように。最近誰かがテレビで湾岸署はドラマやからそんな警察あるわけないじゃん、などと言っている人がいた。ちゃんとありますよ湾岸警察署は。特にタレントがシャブなど薬物をして捕まった時には大概湾岸署に連行されているじゃありませんか。話をその渦中の日枝会長に戻そう。鹿内体制にあって社内に労組を作ったのが他でもない日枝氏である。そして今や百人もいなかったフジ社内の労組が500人になっていて、次回会見では日枝会長が同席することを条件に様々な要求を出している。そして彼を含めて取り巻きの経営陣の総退陣を求めている。日枝氏にはいろんな肩書きがくっ付いている。その一つがフジ・メディア・ホールディングス代表取締役会長兼CEOである(訂正;2017年以降は、取締役相談役という肩書きに変わっている)。おん年87歳。前回話した取締役の重要な役割または責任として「善管注意義務」が存在する。Googleでググると最近AIが解説している。それによると善管注意義務とは、その人の地位や職業において、社会通念上必要とされる注意を払う義務です。とある。

 なんやそんなことかいな、という感じだけど、でもこれが意外に大事なのですよ。つまりこれまで中居問題が発生した時に対応した取締役がそれぞれ適宜十分な対応をしたかどうか、が問われているからです。中居以外にも有名タレントがいたとか、中嶋Pとか連んでいたとか色々社内告発も始まっている。今になって関テレの社長が会談しているのも当時取締役専務だったからです。当時は盤石だったフジテレビ放送網には広告業界から広告を差し止められており、のんびりした取締役の対応に周りからじわじわ締め付けが始まっており、既に存続が危ぶまれているのである(これに関しては、元フジアナウンサーの長谷川豊氏は、広告がACに変わったとしても、経済力豊であり後10年以上は持つと断言する)。

補追;1月27日本日緊急取締役会と2回目の公開の会談が開かれるので注目が集まっている。ここに来てなぜかフジHD(フジメディアホールディングス)の株価が上がっている。これには色々詮索が入るところだけれど、日本年金機構が株の運用を任せている日本マスタートラスト信託銀行が同株式の2600万株で11%以上を保有している大株主となっている点も大きい。ということは、仮に株価が上昇したとしても直ちに売れないということを意味する。なぜなら生保と同じく機関投資家が株価の動向を左右するからだ。特に今日本は外国の投資家が多く入っている。筆頭に位置するのは前回書いた世界の四大投資家の一人ウォーレン・バフェット氏やジム・ロジャーズ氏らである。彼らの投資運用会社が動くと世界の投資家も動く。フジHDは傘下にはフジサンケイグループや日本放送、産経新聞社など多数あるが、特に不動産での利益が大きいようだ。仮にフジテレビが潰れてもびくともしないが、潰せないのは安倍政権で監督官庁である総務省の偉い人が天下っているし、加計学園を思い出してしまうが、日枝会長も安倍さんとはゴルフ友達であるほどに繋がりが深かった。トランプ大統領にしても現総理を呼ぶよりも安倍夫人を呼ぶといった具合だ。前回書いたけど、天下りやお互いの団体の利益を重視するウィンウィンの関係が今や日本の慣習として支配しているのは間違いないと言えるだろう。日本の慣習とは言ったけど、企業が大きくなるにつれて、会計基準が今や世界基準に合わせているように商慣習やその他悪しき慣習までもがアメリカナイズしているのかも知れない。

参考文献;岡芹健夫著「取締役の教科書」....岡芹氏の本によれば「取締役が、会社に著しい損害を及ぼすおそれのある事実を発見したときは、ただちに監査役や監査役会に報告しなければならない。また、取締役がこうした善管注意義務を怠った場合、会社に対して損害賠償義務を負うこととなり、また取締役に悪意(法的には、当然知らなければならない事項をわざと見逃すような行為を許したと考えられる)または重大な過失があった場合には、取締役は第三者に生じた損害についても損害賠償義務を負う」とされる。

 柴田和史著「教養としての会社法入門」….取締役が宝くじを買うことは判例上許されていない。会社に損害を与える可能性が高いと判断されるからだ。(酷いケースでは特別背任が問われる。実際に大王製紙の取締役だった井川意高氏がマカオ等で博打をして会社に多額の損害を与えたとして特別背任で逮捕されている。)それでは株式はどうかという問いがなされている。今フジ・メディアHDの最近株価が上がっている(2月4日は下がった)が、トヨタのような安定株式を比較的長期間保有することは問題ないとされている、と解説されています。

    中川一徳「メディアの支配者」....堀江貴文が当時フジ買収に走り、日枝氏がそれに攻して必死でフジを守ろうとするのであるが、かつては鹿内を追い落とした人間でもあったのが日枝久だった。今回のメディア存続の戦いは、かつてとはまた違う形で次の支配者に襲いかかったと言えようか。

補追;1月28日。昨夜の十時間にわたる会見で中心的な話題は「遠藤副会長(コンプライアンス担当責任者)の耳に入ったのが遅く一大事が社内でも共有されていなかった」「日枝相談役がなぜ出席しないのか。なぜ責任を取らないのか」「渦中のA氏に対して第三者委員会を通じてでも通信履歴や様々な方法でもっと詳細に追求すべき」それに対して、経営陣は「日弁連のガイドラインに沿って委員会の調査が入れば1/23以降は社内調査は出来なくなる」と言ったりしてA氏に対しては調査は終わったかのような態度であった。

 フジテレビ会長、社長が「取締役」としての責任を取って辞任したみたいだが、彼らには日枝さんからとっておきの「天下り」が用意されているだろうし、組織的な犯罪が起きていたと想像できる中でも中居問題が中途半端で警察も動かない点など会場に来た社員や各マスメディアの失望感を誘ったのだと思う。暫定的に社長等のすげ替えで事無きを得ようとする組織の実態は、あの鹿児島県警の問題で見せた本部長や警察庁長官の動きと殆ど同じであり、国民の間にも失望感が漂ってしまうことだろう。取締役の責任は、辞任したからといって消える訳では無いということは当事者は肝に銘じるべきだと思う。

補追;2月2日。中嶋Pが自宅謹慎中らしいわと姉がどこからか仕入れた話を言う。自宅にはいないやろう、妻も子供もいるのに、ホテルか愛人宅かとオレは話す。それにしてもフジTVの記者会見で社長が、ケータイの内容も調べましたが問題はなかったと話したが、それであれば謹慎中や1月30日付で人事局付というのもおかしい。本人の意に反してなら労基法違反になるし(既に本人も部下に対して労基法違反してるから相殺か?)記者が聞きたかったのは組織の関与があるのかなかったのか、だから彼が口を滑らすことがすごく問題になってきているのだろうなぁ。

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