「わたし、ちょこまか動くけんちゃんが好きだよ。」
「でも忘れん坊だよ、四ヶ月でiPad2回、iPhone1回忘れたし。全部返って来たけどね」
「ちょっと忘れすぎだね笑」
「お前とのWベッド、遂に完成したよ。圧縮されたマットレスが膨らむ時ちょっと感動した!無印で買った一層式羽毛掛け布団に、リヨセルコットンのカバーを被せて(youtubeで無印が案内している)昼寝したら、気持ち良かったよ」
「良かったね。それで一人寝たら疲れ取れるよね。」
「Wベッドで何で一人で寝るんよ。もう!三十五と一緒じゃなきゃダメなの」
「そうなの?」
「そうだよ、もちろん。眠り姫のためのものだよ。今壁紙も部屋いっぱいに広げようとしている。カーテンも変えて。断捨離したら模様替えは完成」
「えらいね。私はけんちゃんが男として忍耐強くしてたのもちゃんと分かってるつもりやから。」
「ちゃんと繋がってるってことかな。三十五のこと、忘れたことなんか一度もないどんな時だって。一時期どん底まで行ったから、その頃はもうヤケになってたというか、自暴自棄やったと思う。そんな状況を救ってくれたんは、きっとお前とおれの守護霊の成せる技やないかなぁ。今ならそんな気もする」
「私も苦労した分けんちゃんも苦労したんだねきっと。」
「考えたら今能登の地震でさ、地獄を見た人も一人や二人やないんやから。そんな人から見たら幸せな境遇やと思える。いや比べもんにならないかな?そういえば、お前はあん時最初からそんな感性持ってたんかも知れんね?」
神戸市公式サイトより
「え?どんな感性?」
「初めてルミナリエに行ったやろ。それほど当時は強い意味も持ってなかったおれは。三十五はなぜか知らんけどずっと絶対行きたいってこだわってたと思う。もし一緒に行かんのやったら別の人と行くって。行ってみて初めて理解した。あのセレモニーは実は「再生」(または、再建reconstruction)という意味があって、他に変え難いものを持っている事なんやろうなぁたぶん。今ならそんなこと思ったりもする」
「それからさ、人生ではある時には運命を受け入れられなくては前へ進めない時もあるけど、そういうの知っていたのじゃないかとも思う。それが結果的には自分らしくない人生である場合もあるんやけどさ、それも含めて運命を受け入れることによって前へと進める。そしてあれから二十年近く経ってやっと自分というものを知ることが出来るようになったかも知れん。それはおれも同じやから」
今年のルミナリエは、実際には去年の暮れに開かれるところが延期になって、わずかな期間ではあったが無事開催された。