世の中あまりに色んな出来事が次から次に立て続けに起きると、重要な事が何なのかを見逃してしまいやすい。元旦早々大地震が起きたし、翌日も空港での飛行機同士のクラッシュが続き、一月中には東京地検の捜査が自民党の政治パーティに絡む政治資金規正法違反事件で、清和政策研究会をはじめ二階さんの志帥会や岸田首相の属する宏池会が解散を決めた。明日は京アニ事件の青葉被告の初公判が開かれる。彼の生い立ちを聞いてると、どこか安倍元首相暗殺事件の山上被告と被っている気がする。それほど二人は、家庭での環境が悪く、何か八方塞がりのような状況で事件を起こしていることが分かる。そのことは、おそらくアキバ事件や他の事件にもよく似た状況がある。
見出しの「もしも」は既に過去のブログで書いているとおりだが、元旦の地震でも、たまたま妻の実家に帰省して災難に見舞われた現職の警察官が、一度に3人の子供と妻、妻の母親を亡くして告別式で涙ながらの喪主の挨拶をするのが報じられて多くの人々の涙を誘った。一人でも痛ましいのにあまりにも彼の場合は過酷過ぎた。六本木の死亡事故と比較するのことも出来ないが、世の中には詐欺師がいっぱいいてそんな人は死なせないのかと不平等感が有り過ぎる。それは誰しも思ったことだろう。「もしも、帰省するのが、事案多数で遅れたとしたら…」「もしも夫の彼だけでなく家族で外に出ていれば」それは彼自身もそう悔やんだことだろう。「なぜ、おれだけが生きて、お前たちが、まだいたいけな幼い子供が犠牲にならなくてはいけないんだろう」「なぜおれだけが生きてみんな死んでしまったのか」世の中には腑に落ちない事がいっぱい有り過ぎて、これからどう生きていけばいいのかさえ見失ってしまう事の方が多い。
京アニ事件の遺族は重い口を開く。(娘を亡くした母)「私は、苦しんで苦しんで死んでほしいって思ってる。ようけ人殺しといてな、なんで自分だけが生き延びなあかんの。おかしいやん。」
大火傷を全身に負った彼の命を救った医師がいる。彼を救ったのは、彼こそ法廷に出て発言していかなければいけないと強く思ったからだった。何度も拘置所の彼を見舞った。そしてその動機を確認したかった。彼はずっと子供の時に父親から虐待に遭っていた。既にDVに悩む母親は父親と離婚し去って行った。青葉被告が職を持った時に父親もタクシードライバーになっていた。そして孤独の中で自死する。彼には唯一アニメの原作を描くという夢があった。京アニの「涼宮ハルヒの憂鬱」が彼の荒んだ心の慰めになっていた。だがその夢さえも既に実現するには遠過ぎた。応募しても採用されなかったからだ。いつ彼の中に破滅的な思考が芽生えたかは知らない。しかし自分の作品を京アニにパクられと信じたことは、放火の動機となっている。今やどの施設もその会社なり店舗が重要であればあるほど「施設警備」を厳重にして「出入チェック」を行うのが常識だ。その常識がこのアニメーション会社にはなかったように思う。それが36人死亡という結果を生じさせた。
本来なら人を殺すべく武器を作って事件に備えるというようなシチュエーションを人は抱かないはずだ。もっと夢があって、喜びがあって、自由があって、楽しみがあって、好きな人がいて、その人を幸せにしたくて、その人の笑顔が見たくて、自分よりもその人の笑顔に満たされたならそれで満足するはずだったのだ。
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