昨日8月12日に梅田のT・ジョイで映画「リボルバー・リリー」を観てきた。フロント大阪の人混みと比べれば、館内はひっそり閑としていた。小曽根百合は、細見欣也(水野寛蔵と同一人物)という男が作り上げた諜報機関「幣原機関」に属していて、三年間で57人もの人を殺害したという曰く付きの殺し屋であり、20歳で行方を眩ましてから陸軍からも別の殺し屋からも付け狙われる羽目に陥る。大正時代の台湾が舞台になっているが、山本五十六は当時大佐の身分で出ている。ラスト近くで百合が五十六に銃を突きつけ面と向かい、人が人と殺し合う世の中になるのではなく何とかして戦争を回避して欲しいと頼み、彼の言質を取りつけるシーンもある。歴史は決して彼女の理想どおりには進まなかったが…。陸軍と海軍は元々仲が悪かったが、水野が握っている資金源を巡る争いに百合も巻き込まれることになる。それは百合が愛したスパイの上官細見が実は水野であり、理想家の水野の家族を皆殺しにされる中で唯一逃した息子を命懸けで守ることを彼女に託したからだった。息子が狙われるのは、軍の機密情報を身に纏っているという事もあった。百合の脇を彼女の支援者(弁護士岩見や女中達)の何人かが援護射撃して固めている。陸軍の大勢の軍人とは別に、南という一匹狼の男(清水尋也)と繰り広げた死闘は何より見ものだった。彼女が女将である花街の銘酒屋でレコードがかかるシーンがある。我々でも懐かしいエノケンの歌(小学校の頃TVのコマーシャルソングだった)で、その曲に乗り射撃シーンが始まる。
エノケン(榎本健一)の「東京節」(大正生まれの婆さんはバナナをよくパナナと言っていた)
彼女が手にする S&W M1917リボルバー という拳銃は六発の弾丸を弾倉に入れ、打ち終えれば排莢子桿を指で押し直ぐに薬莢を押し出し新しい弾丸を装填する。最後の方の海軍省前での陸軍との死闘ではその仕草を繰り返すシーンがある。イタリアの拳銃ベレッタも登場するが、彼女のはアメリカ製のスミス&ウェッソン社の45口径の銃で銃身が結構長くて命中度は上がるが、本当なら女性には向かないはずだけど。撃った人ならわかるけど、凄い反動で片手で撃った瞬間銃身が十センチ以上は上がるから。両手把持でなければとても無理、が本当のところです。余談ですが、同じ会社製で「SAKURA」(M37エアウェイト)があるけど、現在の日本の警察官が所持しているもので、昔のニューナンブと比べても命中精度は格段に低い。何故なら銃身が4センチ程度で、至近距離から発砲しても5メートル程度なら当たるが5発しか装填できないし、実際にはただ軽いだけの使い物にならない銃なのだ。日本はアメリカと違い、銃規制がしっかりされているからそんなに銃所持事案を心配することは少ないが、それでもナイフを手にして攻撃されれば、もう拳銃よりその辺にある椅子とか棒切れの方がマシ。よって「地形地物を利用せよ」と言われているのである。
写真は、2023「リボルバー・リリー」フィルムパートナーズより
綾瀬はるかは、銃でも刀でも(映画「ICHI」)かっこいい。格闘シーンも含めてハリウッドのアンジェリーナ・ジョリーよりも優れていると思う。取扱注意の奥様でも好演していたし、今後が楽しみの女優である。この映画の新調された礼装の白色のドレスを纏った彼女の戦闘シーンは、血だらけになり実に勿体無いと思った女性が多かったんじゃないだろうか。
そのドレス、衣装担当の黒澤和子がデザインしたものらしい。
でもいつになったら、隣にお前が座るんだろうか…。
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