2023年2月14日火曜日

MRJ失墜(世界を駆け巡ることが出来なかったジェット)

    なぜいけないんだろう?どこが間違っていたんだろう?自分たちの過去において何かをしようとして、例えば事業を始めようとして失敗した人もいるだろうと思う。その時に自分自身に何かの言葉を投げかけていたとして、皆さんはどういう言葉を投げかけてみますか?(そんなことをある記者会見を見て思ってしまいました。)

     国産初のジェット旅客機のこと。実は私はニューヨークに行った時(2004年8月)滞在スケージュールが1日余ってしまっていて、それでワシントンに行けるかどうか思案したことがある。1日で行けるかどうか?取り敢えず直ぐに実行したがる性格から、ラガーディア空港に向かっていた。そして空港カウンターで質問した。今朝ここを出発して今日中に帰って来れる便はありますか、と。そしたら直ぐに返答が返ってきた、あります、と。一も二もなくその運行スケジュールで1日を組み立てて、ビジネスマンがよく利用する小型ジェットに乗りワシントンに飛び(約1時間)、有名なスミソニアン博物館とケネディ大統領が眠っているウェリントン墓地を訪ねることが出来て満足したのだった。ワシントンのその博物館は、ライト兄弟の初飛行機や、子供を身代金要求されて殺された悲惨な体験もした(それは「オリエント急行殺人事件」の元になった)リンドバーグの大西洋無着陸飛行を実現したスピリット・オブ・セントルイス号、日本に二発の原子爆弾を投下したエノラゲイ号、それに宇宙ロケットで月面に初めて着陸したアポロ13号の機体やスペースシャトルも展示できる日本と違うスケールの大きい博物館であり、それらを目の当たりにして興奮もした。中でもトム・ハンクスが監修したジェット機に関するものや宇宙もののIMAX映像は圧巻だった。

 本題は、「MRJ(三菱リージョナルジェット=現スペースジェット)が事業を正式に撤退」というニュースについて。1兆円もの開発費を投入した「日の丸ジェット」は大きな期待を背負い、JALなど国内の航空会社も含め400機の納入を見込んでいた。2月7日泉澤清次社長は会見で、あっさりと様々な事業計画を断念せざるを得ない理由を挙げて、開発中止を判断したと述べた。既に受注していた航空会社などは蚊帳の外であったし、名古屋空港近くに設けられた量産工場にしてもそうだが、部品メーカーでも旭精機工業といった会社は22億円をかけて神戸に主翼の部品を加工する工場を設けていたのだったが閉鎖せざるを得なかった。ちょうどパナソニックがTV製造のために尼崎の海沿いにどデカい工場を作っていたのを湾岸高速を通るたびに見ていたのを思い出した。シャープをはじめ次々に国内のTV産業は当時韓国や中国などの国際競争に負けて撤退することになった(その時にずっと後のことを考える余裕があったらソニーのように次の主力製品を生み出せたはずだった)。

 社長は失敗の要因として、型式証明のことでの経験不足や脱炭素化等で巨額の資金が必要になった、「開発を再開するに足る事業性を見出すことが出来なかった」等語っている。

 しかし、例えばTBS NEWS DIGというBS番組では ①自前主義に拘った②市場への向き合い不足③国際環境の認識の甘さ④協業体制の弱さ⑤技術偏重などがあったと指摘する。更に

 ・日本の製造業がビジネスが出来ないための問題点

 ・dicision making(意思決定)=決断能力の弱さ

 ・責任の明確化が出来ていない→誰も責任を取らなかった

などの指摘を行なっている。それとは別に当初から社員がこのMRJの失敗を見越して他社に転出した人が続出したらしい(ホンダへ?知らんけど)。「型式証明」とは、航空機が一定の安全基準を満たしていることの認証で米連邦航空局がチェックするもの(国内のボーイング787MAXという欠陥ジェット旅客機の製造には甘いのは合点が行かない)で、それについても国交省のバックアップが手薄であると言われている。ちょっと性質が違うが、東芝が、ウエスティングハウスという米原発を手に入れようとして失敗(購入後9.11後のテロ対策に莫大な費用がかかってしまったから)した事例があるが、その時対照的に三菱重工は早期に引き上げて救われていたのを思い出す。

 誰か識者も似たようなことを言っている人がいたけど、もしジェットがダメでも宇宙産業で繋げていけたんじゃないかと私も思う。さすがというか親方日の丸だからか、あまりに企業が大きすぎて失うものがないと思うのか知らないけれど、発想が貧弱なのはどうしてなのだろう?躓いた時の対処が出来ない人間はダメ人間になるが、会社も同じである。かつてカナダのロンバルディアから訴訟を提起され、その後和解して共同で製造することになったという経緯も思い出されるが、ホンダ・ジェットが輝かしく飛び出して行ったのとは好対照なのは何とも皮肉だと思う。各界のリーダーも今回の撤退を悔しがって見ていることだろうと個人的には思っている。


       上がホンダ・ジェットの最新モデルHonda Jet Elite II、下が改名したMRJ

 ホンダジェットのCM このCMの曲は、ワンオクのタカが作って歌っている。

 私が今いる食品会社ではコージェネco-generationという機械がある。ガス会社と協働で三菱のターボエンジンがエネルギー(熱)を生み出す仕組みである。(関連会社;三菱重工エンジンシステム(株)、三菱重工エンジン&ターボチャージャ(株))、大阪ガス(現Daigas Group)

 それは、今後原発に変わる次世代の軽水炉として注目されているが、核融合発電も水素を燃料として安全性に優れたものとして注目され三菱重工が中心となっている感がある。だから余計に惜しいのは、企業が大きすぎていざという時に知恵を絞り出すことが出来ていない状態にあるから。国産の主力戦闘機についても日本は後手に回ったことがあったが、いつの世でも遊ぶことに熱心で金儲けに走ったりする社長(例えばゴーンのような男)しかいなかったり、一票のためにどっかの宗教団体に頼ることしか知らない政治家しかいないからなのかも知れない。

 私が特に言いたいのは、「一度乗りかけた船」なんだから、例え様々な困難を伴う諸問題があったとしても(Quoraではそのような指摘がされており無理もないと擁護されている)、途中で放棄しないで最後まで責任を持ってしなさいということです。「三菱」は、戦前からそのような重大な国を背負った責任を背負っているからに他ならない。

補追;初号機はアメリカにおいて本年3月8日に解体され、テストされた他の関連機も以後順次解体される。国内に残った関連機については、知見をいかし社長の判断で次期戦闘機の開発に活かすこととされている。




2023年2月2日木曜日

飾りじゃないのよ涙は、あっは〜ん!

    そんな曲が昔あったっけ..。数年前大阪市の図書館(こども本の森中之島)が子供たちのために作られて話題になり、同じ建築家が設計した図書館が神戸にも最近作られ話題になっていた。そして見学に来た子どもたちが何の躊躇(ためら)いもなく言ったそうだ。「何でこんなん作ったん?」と。それが子どもの素直な感想だった。高〜いところまで本棚を作り、空間を有効利用しようという建築家のアイデアであったが、子供には直ぐには受け入れられなかったようだ。飾りじゃないからね、本棚は。手に取れるところにあって、見たいものを直ぐに見つけられる、それが子どもの偽らざる感想だと思う。王国の民からチヤホヤされている裸の王様が子どもの呆気ないほど率直な指摘で我にかえることもあるだろう。

 つまり最近の大人は「忖度」が流行っているから、もしそれが間違っていたとしても、その人を立てて慮(おもんばか)る。それが大人の社会だから。だからと言って暗殺された訳でもなかろうけれど、そういうことがやがて当たり前になってしまい、何も感じなくなって「人間にとって真実は何か」という人が一生かけても追うべき大事なテーマを蔑(ないがし)ろになっていたとしたら….。子どもたちの指摘を待つまでもなく、いずれ人は気がつくだろう。

 今日はやはりあの大国のことを書かない訳にはいかないのかな。テーマは「三峡ダム」。誰か最近山に登った人が中国人ばっかやったわと呆れていたけど、へえと首を傾げて聞いた。大国への入国にやっとビザを許可したばかりだけど、まだ来日中国人の数は以前と比べ微々たるはずだから(多分雪を見るのも珍しい台湾の方と間違えたためと思われる)。

 YouTubeでは2月1日付【上流で異常な増水!】と題して三峡ダムの水位を測って現状を伝えている人がいることを知った。普通ならそんな暇なことって思われるかもしれないけど、実はそうでもないらしい。度重なる洪水の原因ともなっている(当局は隠すけど)から、ダムの放水は重要な問題だ。現にこの三峡ダムが決壊すれば、たちまち南京や上海、武漢、重慶など大都市が水没して大被害をもたらすともされてもいる。詳細は、下記のチャンネルです。

にしやんチャンネル防災部

 それに中国は他国にも技術者を派遣してダムを作っているが、そのダムが危ないとも指摘されている。インドネシアで新幹線を走らせるという大事業で当時日本は中国に負けたことがあったが、現在はインドネシアもさぞかし後悔していることだろう。似たような話で、それがエクアドルで建設されているダムで、いつ崩壊してもおかしくないところまで来ているという。詳細は下記のYouTubeチャンネルでの妙佛(ミャウホウ)氏の説明に任せたい。

妙佛 DEEP MAX

 そして前述した三峡ダムに関して政治的には、中国の台湾侵攻と重要な関連性がある。もし中国が台湾に対して武力行使を伴う侵攻を始めようものなら、台湾軍はまず「三峡ダム」に対してミサイル攻撃を仕掛けるだろうというもの。なぜそうするかといえば、そうすれば中国の大都市は一瞬のうちに壊滅的打撃を受けてしまうからに他ならない。よって台湾の同盟国は絶えず三峡ダムについて衛星で監視を続けているのである。

 こういった政治的に扱われた「三峡ダム」については次の記事が参考になります。

月刊Hanada Plus 

 2月3日の節分の日に台湾大学出身の若者が10ヶ月の企業研修を済ませ帰国するにつき、京都を案内しようと彼を誘った。京都は初めてで、帰れば大学院(奨学生で給与付らしい)生で、その後はドイツ留学(博士課程)と見定めている。彼は生まれた地のインドネシア語と中国語、日本語、英語を話す。今日はまず北野天満宮に行き、お守りを買って上げた(彼はドイツまで持って行ってくれるとのことだった)。次は八坂さん。ちょうど節分の豆まきをしている最中で、かなりの人だかりだった。後は先斗町で二軒食事して語らった。こんな優秀な25歳の若者にも人に言えない悩みを抱えていることを知った。国籍取得を日本と見定めていた時期があったようだけど、ある事で失望した気持ちもあり、今はドイツに変更している。彼にある言葉を伝えた。「何でも経験ですよ」「悪いことも、失敗したことも、身に被ったことも全てね」英語では Call it experience . この言葉は、アメリカの作家で「タバコロード」を描いたErskine Caldwellの言葉であり、彼の著作の題名でもある。

3月19日補追;彼からLINEが長文で入っていた。日本では最悪で1日一食を余儀なくされたり、そこまで落ち込んでいたのを知っているのは私だけだったし(日本の関係書類はみんな処分したらしい)なぜ台湾帰国を急いだかも食品会社の誰も知らないことだろう。今は天国と地獄の差があるとやっと自分を取り戻していると張り切って伝えていた。学費は要らず、逆に過分の給与をもらい、工学研究を続けられ、他国からのアプローチもあったという。2年後のドイツでの博士号を最大の目標としているので頼もしい人物だと思うし。最悪の日々だったのを、少しぐらいは日本の良い思い出を作るのに一役買ったのかも知れないと思う。



 お互いに有頂天になっていたり、またある時は失意に落ちたりしたかも知れないけど、それは運命という名の天の計らいなのかも知れないし、自分が選んだことが結局失敗だったと思っても、その先をちゃんと見通したら、きっと一筋の光明が見えているはずやから。だからいつまでもそんな顔しないで、お前は笑顔がいちばん似合うん人なんやから。希望を持って歩いていこうな….。




新中東戦争のゆくえ