2020年7月15日水曜日

Summer is just coming

近づく夏

クマゼミの声が聞こえてきた
梅雨のわずかな雨上がりの中で
早く夏が来ないかと 待ちわびているのは われわれ
人間だけじゃなかった
苦しい戦いの中で それが勝ち戦(いくさ)のレースから
既に脱落しているのに気付いているとしても
真っ直ぐ 前を見つめているあなたには すごく勇気をもらえた

きっと 積雲の下で すっくと立っているあなたを
樹々の青さよりも 水しぶきの鮮烈さよりも
すがすがしいあなたを 遠くで発見して
ただほくそ笑んでいるだろう
(2020.7.11)
※モデルは、長野女子マラソンで 2時間23分52秒の歴代最高タイムを出した
記録保持者岩出玲亜です。



夫の洋服と妻の笑顔

妻の話す何気ないひと言に反応しなくなっているとしたら...
心はきっと離れているんだろう、もう
愛しい頃の夫の仕事は、長い年月で少しずつ変わってくる
それは夫がその頃とは違う「洋服」や「飾り」を身につける必要があったから
「あなたは変わったわね」と聞いても
変わらないのは、妻だけかもしれない
そして 変わりたい妻のもう一つの心を
取り戻したいと願っても
二人の間にいる何も未だ変われない小さな子供が
背伸びしたり 無邪気に飛び跳ねたりしながら
そんな光景の中で うかうかしていると
子供だけが先に 遠くに行ってしまい
気付けば 妻の寂しい笑顔と 諦め顔の習い性が鏡に映っている
ただ横にいるのはもう 夫ではなく
ペットと裁縫道具と 買ったばかりの読みかけの本
(2020.7.14)


2020年7月7日火曜日

旅をする二人

もしもお前と旅をするなら
北欧の街を二人で歩きたい
エキゾチックな街の中で 並んで
お前が左で おれが右
ゆっくり話しながら 公園や港や図書館を巡る
家に帰ってパソコンをすると言ったって遠い
日本から離れていて おいそれとは帰ってこれないのを知っている
でも 幸せを満喫できるところにいるのは 二人には分かっている
お前とつながっているから 今ここでこうやって

つがいの鳩

東の空が白んで 人は傘をたたんで帰る
工場の屋根に つがいの鳩がとまっている
雨の中でもとまっていた いつもカラスがやってきて邪魔されても
今日も仲睦ましい
雲の流れは少し速いけど 束の間の僥倖とはいえ
安心できる 明日になればいい

(2020.7.6)

織女と牽牛

「こんな雨では 織姫と彦星は会えないじゃんか」

昔々、天帝という人が天空を支配していたころの話

天の川の西岸に 織女という娘(天帝の娘)がいたんだって...

「それで?」

東岸には牽牛という若者がいて 天帝が二人を一緒にさせたんだけど

一緒になったばかりに 二人は以前の二人ではなくなってしまって

罰として二人を引き離し 一年に一回だけ この七月七日に

二人を会わせてやろうとしたんだってさ

「可哀想だよ、それって。大人は横暴だよ」

そうだよね それにさ 毎年雨が降るからね この日は

「でも 宇宙にいたら 雨は降ってなくて 会えているかもね」

うん。ひょっとしたら もっといっぱい会っているかもね...

「だといいんだけど」


(2020.7.7)

      フリー写真;オーストラリアの空に輝く天の川の風景でアハ体験 より

       http://gahag.net/010422-milky-way/


2020年7月4日土曜日

time capsule


16年前のタイムカプセルを掘り起こすみたいに
お前と一緒だった大切な思い出をカプセルから開けて広げてみた
あの時と変わらず お前はにこっと笑っているけれど
どこか寂しげに見える
今日は雨が降ってる 買ったレインコートを着て町に出た
(2020.7.4)

natsu no hitotoki

こんなにも お前を追い求めているのは
あの日から つながったままになっているものが
断ち切れてないから きっとそう
 
公園にある誰も乗っていないブランコやシーソー
そこには お前とおれの二人がいて
おれのひざの上にお前を乗せて ブランコをこいでいる姿や
向かい合わせのおれとお前が 見つめながら
ギッタンバッタンしているのを 想像できる

そんな遊びではしゃいで 少し疲れた二人は
芝生の上で寝転んで 指をからませながら
同じように 空のずっと高いところにある 星をみつめているのさ
(2020.7.2)


新中東戦争のゆくえ