2020年9月28日月曜日

モーリシャス沖の油流出事故

 

モーリシャス沖の燃料油流出事故

 この記事(リンク先;日経ESGのネット記事;編集者 馬場 未希)には、「 インド洋の島国モーリシャス沖で現地時間2020年7月25日、日本企業の貨物船が座礁した。」とある。これまでにも世界のあちこちの海域で燃料油流出事故が起きているが、過去にはパナマ船籍とかまるで日本のタンカーであっても他所の国の船だから関係ないという発想があって、どうしても日本人の話題に上らなかったことは否めない。今回も実質日本の商船三井のチャーターした貨物船であることから、また事故処理中二次災害も起きており、当地の自然を破壊するおそれがあるとして、日本を追及するデモまで起きている。

 かつて1989年にアラスカはプリンス・ウィリアム湾というところで発生したエクソン・バルディーズ号の原油流出事故をご存知だろうか? 

 この時も問題になったのは、原油汚染により海に生息する生態系そのものに影響が出たことと、ニシンやサケなどの水産物を対象とする漁業にも重大な被害をもたらしたことだった。その際にそういった被害を測る方法があるのかということが問題であった。そこで導入されたのが、「環境評価」という手法である。例えば、お金に換算できる漁業資源のほか市場価格というものはないが動物など生物多様性のエリアを壊したことを復元するプロジェクトにより、失われた自然を取り戻すのに要った資金を計算すれば損害額が明らかとなり、汚染した船会社ほか責任ある者に賠償を請求することが可能となったのだった。(勁草書房発行/栗山浩一・柘植隆宏・庄子 康 共著「初心者のための環境評価入門」に詳しい)

 今回の被害については現地の海洋汚染により地域の海固有の生物多様性の被害が予想され(現実にこの海域ではイルカが大量死しているし、マングローブ、サンゴ礁など自然を形作る植物にも既に影響が出ている)、商船三井が謝罪の記者会見を行ったが、企業だけでなく日本政府も遅まきながらではあるが国としても自然を破壊したことによる賠償に応じる姿勢を見せている。





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